契約法総論(民法521条~548条の4)に関する自学・自習教材


契約総論に関する条文(民法521条民法548条の4)について,各条文の意味を具体例を補いながら理解することができるように設計された自学自習教材です。

使い方〕内の空白部分が条文の意味を理解するための具体例です。空白部分をドラッグすると具体例が浮き出てきます。

最初は,ドラッグせずに自分で答えを考えてみて下さい。その後で,ドラッグして具体例を読むようにすると,民法の条文の意味が分かるようになります。

作成:2021年6月11日
明治学院大学法学部教授 加賀山 茂


第2章 契約


契約を理解するためには,二つのこと(契約の流れと契約の13の類型)を理解しなければならない。

第1は,契約が成立してから終了するまでの以下の一連の流れ(フロー)を理解することである。

 
 契約の流れ図
  1. 契約の成立・不成立(民法521条~民法532条)
  2. 契約の有効・無効(民法1条~126条,民法548条の2~548条の4)
  3. 契約の効力の発生・不発生(民法127条~137条(条件及び期限),民法533条~539条の2(契約の効力))
  4. 契約の履行・不履行(民法412条~422条の2(債務不履行の責任等))
  5. 契約の終了(民法540条~民法548条(契約の解除))

わが国の民法の編成方式は,ドイツ民法に倣って,パンデクテン式(各則の共通部分を総則にまとめて体系化するという方式)を採用しているため,契約の全体の流れという観点から見ると,条文はバラバラに配置されているように見える。したがって,契約の流れを理解するためには,条文の順序を無視して,上記のように,まず,民法521条から民法532条までを理解し,次に,民法総則に戻って,法律行為の有効・無効(取消しを含む),条件・期限を理解し,さらに,債権総論の債務不履行にする条文を理解した後に,契約の章に戻って契約の効力,および,契約の解除に関する条文を理解するという順序を経て,契約の全体の流れを理解しなければならないのである。

第2は,契約の13の類型(13の典型契約)を以下のように,(1)財産権を移転する契約と,(2)財産権を移転しない契約とに分類して理解しなければならない。

そして,(1)財産権を移転する契約については,財産権の移転を元に戻す必要がないもの(贈与,売買,交換)と,いったん移転した財産権を元に戻さなければならないもの(消費貸借)とに分類して理解しなければならない。

(2)財産権を移転しない契約については,それを物の使用に関するもの(使用貸借,賃貸借)と,サービスの提供に課するもの(雇用,請負,委任,寄託),団体の形成に関するもの(組合,終身定期金),紛争に関するもの(和解)とに分類して理解しなければならない。

 
 民法に規定された13の典型契約の分類

このように,契約を理解するためには,第1に,契約の成立から終了までの全体の流れについては,条文の順番を無視して契約の流れに即して条文を丹念に読み込み,第2に,契約の類型ごとの特色を理解するためには,13の典型契約について,まずは,それぞれの冒頭条文を理解し,そののちに,贈与から和解に至るまでの典型契約の条文を理解するという方法で契約法全体を理解しなければならない。

以下に説明する契約総論(民法521条~民法548条の4)は,契約の成立,効力,終了に関する一連の条文であり,契約の流れに即して理解することが大切である。


第1節 総則


第1款 契約の成立


第521条(契約の締結及び内容の自由)

①何人も,法令に特別の定めがある場合〔例えば,医師法19条1項,電気事業法18条,ガス事業法16条,水道法15条,など〕を除き,契約をするかどうかを自由に決定することができる。〔このことを,法律用語では,「契約締結の自由」という。〕
②契約の当事者は,法令の制限内において〔民法の規定としては,たとえば,民法12項(信義則)又は民法90条(公序良俗)等に違反しない限り〕,契約の内容を自由に決定することができる。〔このことを法律用語では,「契約内容の自由」という。〕

第522条(契約の成立と方式)

①契約は,契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方〔法律用語では,「被申込者」という〕が承諾をしたとき〔すなわち,被申込者の承諾申込者に到達したとき〕に成立する。〔このことを,契約成立における「承諾の到達主義」という。その条文上の根拠は,民法第97条第1項に規定されている。〕
【比較法的観点の育成】
 
 CISGの94の加盟国(2021年現在)

〔民法は,「申込み」の定義をしていない。しかし,「申込み」なのか,「申込の誘引」に過ぎないのかについては,常に問題が生じている。
この点については,国際物品売買契約に関する国際連合条約(平成20(2008)年7月7日条約8号(ウイーン売買条約,または,略号CISG(UN convention on Contracts for International Sales of Goods)ともいわれている)が,以下に示すように,「申込み」の定義,及び「申込みの誘引」の定義をしているので,参考にするのが良い。 〕
〔 CISG第14条〔申込み〕
(1)一人又は二人以上の特定の者に対してした契約を締結するための申入れは,それが十分に確定し,かつ,承諾があるときは拘束されるとの申入れをした者の意思が示されている場合には,申込みとなる。申入れは,物品を示し,並びに明示的又は黙示的に,その数量及び代金を定め,又はそれらの決定方法について規定している場合には,十分に確定しているものとする。
(2)一人又は二人以上の特定の者に対してした申入れ以外の申入れは,申入れをした者が反対の意思を明確に示す場合を除くほか,単に申込みの誘引とする。 〕
②契約の成立には,法令に特別の定め〔民法上の特別の定めとしては,例えば,民法446条2項(保証契約),465条の2第3項(個人根保証契約),465条の6第1項(事業に係る債務についての保証契約)等が,契約を書面ですべきことを規定している〕がある場合を除き,書面の作成その他の方式を具備することを要しない。〔このことを法律用語では,「契約方式の自由」という。〕

第523条(承諾の期間の定めのある申込み)

①承諾の期間を定めてした申込み〔このことを法律用語では,「承諾期間の定めのある申込み」という〕は,撤回することができない。ただし,申込者が撤回をする権利を留保したときは,この限りでない。
【体系的思考の育成】
〔本来的には,申込みには,(1)「撤回できない申込み」と,(2)「撤回できる申込み」の2種類がある。そして,申込者は,その申込みについて,「撤回できない申込みである」とか,「撤回できる申込みである」ということを明確に宣言することができる(この点については,わが国も批准しているため,ポケット六法等にも掲載されている「国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)」第16条第2項を参照するとよい)。
その前提に立って,「申込みに承諾期間が定めてある」場合には,その申込みは,(1)「撤回できない申込みである」ことを宣言しているものと,法がみなしているのである。したがって,申込みに「撤回する権利を留保した」というのは,申込みが(2)「撤回できる申込み」であることを明確にしたものであって,特別の意味があるわけではない。〕
②申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは,その申込みは,その効力を失う〔このことを法律用語では,「申込適格」の喪失という〕。 〔例えば,今月1日に,申込者が,「今月25日までに承諾をしてください」という申込みをしたのに対して,被申込者が今月24日に承諾の通知を発信し,その承諾の通知が今月26日に到達した場合,申込者の申込みは,すでに今月25日にその承諾適格を喪失しているため,契約は成立しない。〕

第524条(遅延した承諾の効力)

申込者は,遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。 〔例えば,先の条文の例で,今月26日に承諾の通知を受け取った申込者が,その承諾の通知を,新たな申込みとみなして,これに対して,承諾の通知を被申込者にするならば,その承諾の通知が被申込者に到達したときに契約が成立する。〕
〔【批判的考察力・立法提案力の育成】
国際物品売買契約に関する国際連合条約(平成20(2008)年7月7日条約8号(ウイーン売買条約,または,略号CISG(UN convention on Contracts for International Sales of Goods)ともいわれている)第21条(遅延した承諾,通信の遅延)をそのまま採用すると下記の上記の立法提案とすることができる。その他の方法として,旧条文第522条(承諾の通知の延着)を再改正によって復活させてもよい。なぜなら,この条文(旧条文第522条)を削除したのは,国際的な契約法の動向に逆行しており,立法の過誤であったからである。〕
〔第524条の2(承諾の延着) 【立法提案】
①遅延した承諾であっても,それが承諾としての効力を有することを申込者が遅滞なく相手方に対して口頭で知らせ,又はその旨の通知を発した場合には,承諾としての効力を有する。
②遅延した承諾が記載された書簡その他の書面が,通信状態が通常であったとしたならば期限までに申込者に到達したであろう状況の下で発送されたことを示している場合には,当該承諾は,承諾としての効力を有する。ただし,当該申込者が自己の申込みを失効していたものとすることを遅滞なく相手方に対して口頭で知らせ,又はその旨の通知を発した場合は,この限りでない。〕

第525条(承諾の期間の定めのない申込み)

①承諾の期間を定めないでした申込み〔このことを法律用語では,「承諾期間の定めのない申込み」という〕は,申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは,撤回することができない。ただし,申込者が撤回をする権利を留保したときは,この限りでない。
②対話者に対してした前項の申込みは,同項の規定にかかわらず,その対話が継続している間は,いつでも撤回することができる。
③対話者に対してした第1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは,その申込みは,その効力を失う。ただし,申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは,この限りでない。
【批判的考察力・立法提案能力の育成】
〔第525条の2(承諾の発信以後に到達した申込みの撤回の効力)【立法提案】 (←CISG第16条第1項〔申込みの撤回〕の反対解釈)
前条第1項本文の規定のほか,申込みの撤回の通知が被申込者に到達する以前に被申込者がすでに承諾の通知を発信していた場合には,承諾期間の定めがない申込みを信頼した被申込者の契約締結の自由を保護するするため,申込みの撤回はその効力を有しない。
〔例えば,今月1日にAが承諾期間の定めをせずにBに申し込みをしたが,2週間たってもBから返事がないので今月15日に申込み撤回の通知を発信した。その申込みの撤回の通知は,今月17日にBに到達したが,その前の今月16日に事情を知らないBがAに承諾の通知を発信しており,その承諾の通知は,今月18日にAに到達したとする。〕
〔この場合,契約は成立するか,それとも成立しないのか。 現行民法525条によれば,到達の日だけを考慮しているため,先に到達した申込みの撤回を優先して,契約は不成立となってしまう。しかし,日本が批准している国際物品売買条約(CISG)が適用される国際売買の場合には,CISG第16条第1項が適用されて,契約は成立する。民法旧条文の527条でも同じ結果が生じる。〕
〔ネット取引などで国際売買が頻繁に行われている現実においては,日本だけに通用する契約法の規定を設けても,無意味である。 その上,契約自由の原則に立ち返って考えても,申込みに承諾期間が定められていない場合には,被申込者は,申込みの撤回が到達するまでは,申込みに対して承諾する権利を有しているのであり,申込みの撤回が到達するまでは,有効な承諾をなしうると解するのが至当である。〕
〔したがって,上記の問題(15日申込みの撤回通知,16日承諾発信,17日申込みの撤回通知の到達,18日承諾通知の到達)については,申込みの撤回は効力を有しないため,契約は,今月の18日に契約が成立すると考えるべきであろう。〕

第526条(申込者の死亡等)

申込者が申込みの通知を発した後に死亡し,意思能力を有しない常況にある者となり,又は行為能力の制限を受けた場合において,申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき,又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは,その申込みは,その効力を有しない。 〔民法97条3項は,発信された意思表示の有効性を尊重しているのに対して,民法526条は,契約が当事者の合意を尊重すべきことを考慮して,発信された申込みの有効性を制限するものである。〕

第527条(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期)

申込者〔例えば,販売業者〕の意思表示〔例えば,物品を購入してもらいたい商品を送り付けておいて,「承諾しないというような反対の意思表示のない限り,お送りした商品の購入契約を承諾したものとさせていただきます」という,いわゆるネガティブ・オプションの意思表示〕又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には,契約は,承諾の意思表示と認めるべき事実〔例えば,商品の代金の銀行振込みの発信があった時に成立する。 〔この条文は,承諾の到達主義の例外を規定するものである。〕

第528条(申込みに変更を加えた承諾)

 
 変更を加えた承諾=反対申込み
承諾者が,申込み〔例えば,「100円のボールペン1本を購入したい」という申込み〕に条件を付し,その他変更を加えてこれを承諾したとき〔例えば,承知しました。しかし,「1本と言わず2本購入していただくと1本90円に割引しますので,2本を180円で購入してください」という変更を加えた承諾をした場合〕は,その申込みの拒絶〔すなわち,「100円のボールペン1本を購入したい」という申込みの拒絶〕とともに新たな申込み〔「ボールペン2本を180円で購入していただきたい」という新たな申込み〕をしたものとみなす。
〔【体系的思考の育成】
この条文は,申込みと承諾とは完全に一致している必要があるという「鏡像原則(Mirror Principle)」を明らかにしたものである。しかも,拒絶も承諾もできるという強い立場にある「被申込者」がその権限を濫用し,さらに有利な立場に立とうとして,変更を加えた承諾を行うと,その立場が逆転し,「申込者」という弱い立場に追い落とされるという点で,重要な機能を有する条文である。〕

第529条(懸賞広告)

ある行為〔例えば,家出人・行方不明者,逃げ出したペットなどを捜索して発見すること,学術的発明・発見をすることなど〕〔なお,法律用語では,この広告に適合する行為のことをを「指定行為」という。〕をした者〔ここでは,この者を「指定行為完了者」という〕に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下「懸賞広告者」という。)は,その行為をした者〔指定行為完了者〕がその広告を知っていたかどうかにかかわらず,その者[すなわち,指定行為完了者〕に対してその報酬を与える義務を負う。
〔【批判的考察力の育成】
懸賞広告を申込みの誘引の例外としての「申込み」と考える説によると,広告を知らずに指定行為を完了した者は,合意のない場合に適用される「事務管理」(民法697条~702条)によってその行為をしたのであるから,事務管理に基づいて費用償還請求権(民法702条)を有するものの,報酬請求権までは有しないと考えることになる。これに反して,懸賞広告を単独行為(債務負担約束)と考える説によると,懸賞広告を知らずに指定行為を完了した者に対しても,懸賞広告者は報酬を与える義務を負うと考えることになる。〕
〔2017年の民法改正によって,広告を知らずに指定行為を完了した者に対しても報酬を与えることが義務づけられたため,懸賞広告の法的性質は,契約の申込みではなく,単独行為(債務負担約束)であるとの考え方が確定したかのように見える。〕
〔確かに,上記の改正が行われた理由は,懸賞広告者は,指定行為を完了した者があれば,これに報酬を与える意思を有しているからであるとされている。〕
〔しかし,広告を知らずに指定行為を完了した相手方は,あくまで,報酬を度外視して善意でその行為をしたのであって,報酬を受け取ることは予想しておらず,そのような報酬を受け取ることを潔しとしない意思(ボランティアの矜持)を有する場合も少なくない。 そうだとすると,今回の改正によって,懸賞広告の契約説が否定されたわけではなく,広告を知らずに指定行為を完了した者の行為は,契約説にしたがって,懸賞広告に基づく行為ではなく,あくまで,事務管理に基づく行為であると考えることができる。〕
〔ただし,指定行為完了者の行為は,その性質は,あくまで事務管理であるものの,民法改正によって,事務管理の特則として,指定行為の事務管理者には,費用償還請求権だけでなく,報酬を請求する権利が与えられたと解釈すべきであると考えるのが至当である。〕
〔このように考えると,広告を知らずに指定行為を完了した者に対して報酬を与えることを懸賞広告者に義務づけるのではなく(このように考えると,ボランティアは報酬を押し付けられることになる),事務管理者の意思にしたがって,管理者に報酬請求権が認められると解することができるため,ボランティア精神に基づいて事務管理をした者の矜持が傷つくこともなくなるであろう。〕

第529条の2(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)

①懸賞広告者は,その指定した行為をする期間を定めてした広告を承諾の期間の定めのある申込み(民法523条)と同様に〕撤回することができない。ただし,その広告において撤回をする権利を留保したときは,この限りでない。
②前項の広告は,その期間内に指定した行為を完了する者がないときは,〔民法523条2項の場合と同様に〕その効力を失う。

第529条の3(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)

懸賞広告者は,その指定した行為を完了する者がない間は,その指定した行為をする期間を定めないでした広告を〔すなわち,民法525条(承諾期間の定めのない申込み)の場合と同様に〕撤回することができる。ただし,その広告中に撤回をしない旨を表示したときは,この限りでない。

第530条(懸賞広告の撤回の方法)

①前の広告と同一の方法〔例えば,掲示板への掲示,新聞広告など〕による広告の撤回は,これを知らない者に対しても,その効力を有する。
②広告の撤回は,前の広告と異なる方法によっても,することができる。ただし,その撤回は,これを知った者に対してのみ,その効力を有する。

第531条(懸賞広告の報酬を受ける権利)

①広告に定めた行為をした者が数人あるときは,最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。
②数人が同時に前項の行為をした場合には,各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし,報酬がその性質上分割に適しないとき,又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは,抽選でこれを受ける者を定める。
③前2項の規定は,広告中にこれと異なる意思を表示したときは,適用しない。

第532条(優等懸賞広告)

①広告に定めた行為をした〔すなわち,指定行為を完了した〕者が数人ある場合において,その優等者のみに報酬を与えるべきときは,その広告は,応募の期間を定めたときに限り,その効力を有する。〔なぜなら,応募の期間を定めないと,永久に優等の応募者が現われる可能性があり,優等者を決定することができないからである。〕
②前項の場合において,応募者中いずれの者の行為が優等であるかは,広告中に定めた者が判定し,広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。
③応募者は,前項の判定に対して異議を述べることができない。
④前条第2項の規定は,数人の行為が同等と判定された場合について準用する。

第2款 契約の効力


第533条(同時履行の抗弁〔権〕)

双務契約〔すなわち,契約の当事者が対価的な債務を相互に負担する契約のこと。〕〔例えば,売買契約〕の当事者の一方〔例えば,買主〕は,相手方〔例えば,売主〕がその債務の履行〔例えば,売買目的物の引渡〕(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行〔例えば,売買目的物が契約に適合しない場合の買主に対する売主の損害賠償債務の履行〕を含む。)を提供するまでは,自己の債務〔例えば,代金支払債務〕の履行を拒むことができる。〔逆も真。すなわち,売主は,買主が売買代金を提供するまでは,売買目的物の引渡の履行を拒むことができる。〕
ただし,相手方の債務が弁済期にないときは,この限りでない〔なぜなら,同時履行の抗弁権は,双務契約における「履行上の牽連関係」であるため,履行期が到来していない場合には,同時履行の抗弁権は発生しないからである〕。
〔【基礎学力の育成】
この際,契約当事者の名称を確認しておこう。
①贈与:贈与者,受贈
②売買:売主,
③交換:一方当事者,他方当事者
④消費貸借:貸主,
⑤使用貸借:貸主,
⑥賃貸借:賃貸人,賃
⑦雇用:使用者,労働
⑧請負:注文者,請負
⑨委任:委任者,受任
⑩寄託:寄託者,受託
⑪組合:組合員
⑫終身定期金:終身定期金債権者,終身定期金債務
⑬和解:一方当事者,他方当事者 〕
〔【批判的考察力の育成】
双務契約においても,役務提供(サービス)契約においては,すべての契約が,同時履行ではなく,役務の提供が履行となり,報酬請求は払いとなっている点に注意が必要である。その根拠条文は,以下の通りである。
雇用:民法624条1項,2項(報酬の支払時期)
請負:民法633条(報酬の支払時期)
委任:648条2項,3項(受任者の報酬
寄託:民法665条による民法648条(受任者の報酬)の準用
一見したところでは,民法633条(報酬の支払時期)は,「報酬は,仕事の目的物の引渡と同時に支払わなければならない」と規定しているため,同時履行を規定しているかのように見える。 しかし,仕事の目的物を引き渡すまでに,先に仕事を完成していなければならないのであるから,この場合も,役務と報酬の関係は同時履行ではなく,役務の提供が履行となっており,報酬はあくまでいである。 〕

第534条(債権者の危険負担) 削除

第535条(停止条件付双務契約における危険負担) 削除

第536条(債務者の危険負担等)

当事者双方〔例えば,買主と売主の双方〕の責めに帰することができない事由によって〔端的にいうと,当事者双方帰責事由なしに〕債務を履行することができなくなったときは,債権者〔例えば,目的物の引渡債権の債権者である買主〕は,反対給付〔すなわち,売買代金〕の履行を拒むことができる。〔このことを,「危険負担の債務者主義」という。〕
債権者[例えば,売買契約の目的物の引渡債権の債権者である買主]の責めに帰すべき事由によって〔反対に,債務者には帰責事由がない場合に,債務者が〕債務を履行することができなくなったときは,債権者[すなわち,買主]は,反対給付〔売買代金の支払]の履行を拒むことができない。〔このことを,「危険負担における債権者主義」という。〕 この場合において,債務者〔例えば,買主の失火で類焼した建物の売主は,自己の債務を免れたことによって利益を得たとき〔例えば,建物に火災保険をかけていていて,保険金を取得したとき〕は,これ〔すなわち,支払いを受けた保険金を債権者〔すなわち,売買代金を支払った買主に償還しなければならない。 〔もっとも,この条文の後段(第2文)の根拠条文は,民法442条の2(代償請求権)にすでに規定されており重複しているので,この条文の後段(第2文)は不要である。〕

第537条(第三者のためにする契約)

 
 第三者のためにする契約(債権譲渡的構成)
①契約〔例えば,被保険者(要約者)と保険会社(諾約者)との間で締結される自動車損害賠償責任保険契約(自賠責保険契約)〕により当事者の一方〔すなわち,保険会社(諾約者)〕が第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕に対してある給付[すなわち,保険金の支払]をすることを約したときは,その第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕は,債務者〔すなわち,保険会社に対して直接にその給付〔すなわち,保険金の支払を請求する権利を有する。
②前項の契約〔すなわち,自賠責保険契約は,その成立の時に第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕が現に存しない場合又は第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕が特定していない場合であっても,そのためにその効力を妨げられない。
③第1項の場合において,第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕の権利は,その第三者が債務者〔すなわち,保険会社(諾約者)に対して同項の契約の利益を享受する意思〔すなわち,受益の意思表示〕を表示した時に発生する。
〔【批判的考察力の育成】
ただし,保険契約の場合には,受益の意思表示は不要である。〕

第538条(第三者の権利の確定)

①前条の規定により第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕の権利〔自賠法第16条の保険金の限度で損害賠償額の支払を直接に保険会社に請求できる権利〕が発生した後は,当事者〔すなわち,自賠責保険契約の当事者(被保険者(要約者)および保険会社(諾約者))〕は,これを変更し,又は消滅させることができない。
②前条の規定により第三者の権利〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)の直接の損賠賠償請求権〕が発生した後に,債務者〔すなわち,保険会社(諾約者)〕がその第三者〔すなわち,交通事故の被害者に対する債務を履行しない場合には,同条第1項の契約の相手方〔すなわち,被保険者(要約者)〕は,その第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕の承諾〔例えば,保険会社に代わって加害者が損害賠償を履行することによる第三者の承諾など〕を得なければ,契約を解除することができない。
 
 第三者のためにする契約(債務引受的構成)

第539条(債務者の抗弁)

債務者〔すなわち,保険会社(受益者)〕は,第537条第1項の契約〔すなわち,自賠責保険契約〕に基づく抗弁〔例えば,消滅時効の抗弁等〕をもって,その契約の利益を受ける第三者〔すなわち,交通事故の被害者(受益者)〕に対抗することができる。〔条文上の根拠としては,自賠法第17条,第19条など参照〕

第3款 契約上の地位の移転


第539条の2〔契約上の地位の移転〕

契約〔例えば,賃貸借契約〕の当事者の一方〔すなわち,賃貸人〕が第三者〔すなわち,新賃貸人〕との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意〔すなわち,第1に,賃料債権については,二人の間で通常の[債権譲渡(民法466条以下)],第2に,使用収益債務については,前3条(民法537条~539条)の[第三者のためにする契約]による[債務引受]の合意〕をした場合において,その契約〔すなわち,〔[賃貸人]から[新賃貸人]への契約上の地位の移転の契約〕の相手方〔すなわち,賃借人がその譲渡を承諾したときは,契約上の地位は,その第三者〔すなわち,新賃貸人に移転する。
〔【批判的考察力の育成】
ただし,最高裁判決(最二判昭46・4・23民集25巻3号388頁)によれば,「賃貸人の地位の譲渡の場合,新所有者に義務の承継を認めることが賃借人にとって有利であるから,賃借人の承諾を必要とせず,旧所有者と新所有者間の契約をもってこれをなすことができる。」というように,契約の相手方(賃借人)の承諾は必要ないとされている。〕
 
 二当事者間契約の結合による契約上の地位の移転の解明
左上図の賃料債権と,右上図の使用収益権との双方の権利・義務が同時に移転される。
このように,二当事者〔新旧の賃貸人〕だけで,双務契約の移転を実現できる点がポイント

第4款 契約の解除


第540条(解除権の行使)

①契約〔例えば,手付契約(民法557条),買戻し特約(民法579条),譲渡担保契約など〕又は法律の規定〔例えば,契約不履行による解除(541条~543条),契約不適合による解除(民法561条~567条)など〕により当事者の一方〔すなわち,解除権者〕が解除権を有するときは,その解除は,相手方〔契約不履行当事者〕に対する意思表示〔すなわち,解除の意思表示〕によってする。
②前項の意思表示〔すなわち,解除の意思表示〕は,撤回することができない。

第541条(催告による解除)

当事者の一方〔すなわち,契約不履行当事者〕がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間〔すなわち,催告期間〕を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方〔すなわち,解除権者は,契約の解除をすることができる。ただし,その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは,この限りでない。〔すなわち,契約不履行当事者の不履行が〕〔「契約目的を達成することができないほど重大である」(法律用語では,「重大な契約不履行」ともいう)場合にのみ,契約を解除することができる。〕
〔【比較法的考察力の育成】
この規定は,ドイツ民法(改正前の326条1項,改正後の323条5項)の付加期間(Nachfrist)に起源を有しており,ドイツ民法のこの付加期間(日本民法では541条の「催告期間」)の規定は,具体的かつ実用的な法理として世界的認められている(CISG§49(1)(b))。
この付加期間(催告期間)の制度は,解除の要件に関する最も重要な条文であり,解除の理由として実際に適用されている条文は,そのほとんどがこの条文に基づいている。
もっとも,解除の抽象的な唯一の要件は,実は,「契約の不履行によって契約目的を達成することができない場合(民法542条1項3号(不能,または,履行拒絶),4号(定期行為の履行遅滞),5号(その他の契約目的不達成),民法607条(賃借人の意思に反する保存行為),民法611条2項(賃借物の一部滅失)参照)」であり,世界的には,「重大な債務不履行(fundamental breach of contract or fundamentnal non-performance)」なのであるが,この要件は抽象的であって,実務では使いにくい。
その点,付加期間による解除(日本民法541条(催告による解除))は,確かに,催告期間をどの程度にするかについてはあいまいさが残っているが,取引の慣習を考慮して適切と思われる催告期間を指定すれば,その期間が徒過することによって,必ず解除をすることができるという非常に大きな利点を有している。〕
〔【体系的考察力の育成】
今回の民法(債権関係)改正によって,ただし書が追加された。その趣旨は,解除原因としての債務不履行(契約不履行9が軽微な場合には,上記の付加期間による方法によっては解除できないというものである。このことは,逆から言うと,契約不履行が重大な場合には解除できるということを示している。〕
〔次条(民法542条(催告によらない解除))は,実は,重大な契約不履行を類型化した条文でもあるため,上記のただし書を通じて,解除の唯一の要件は,「契約不履行が重大なものである場合」,すなわち,「契約不履行によって,契約をした目的を達成することができない場合」であることが明らかにされたことになる。民法541条と民法542条とが合わさって,契約解除の唯一の原因(重大な契約不履行)が明らかにされることになったのである。〕
 
 契約不履行の場合の契約解除と危険負担との関係


第542条(催告によらない解除)

①次に掲げる場合〔重大な契約不履行がある場合〕には,債権者〔すなわち,解除権者〕は,前条の催告をすることなく,直ちに契約の解除をすることができる。
一  債務の全部の履行が不能であるとき〔すなわち,重大な契約不履行があるとき〕。
二  債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき〔すなわち,履行拒絶があるとき〕。
三  債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において,残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき〔すなわち,一部の不履行が,重大な契約不履行に該当するとき〕。
四  契約の性質又は当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において,債務者が履行をしないでその時期を経過したとき〔すなわち,「定期行為における契約不履行(履行遅滞)があるとき〕。
五  前各号に掲げる場合のほか,債務者がその債務の履行をせず,債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。〔すなわち,その他の重大な契約不履行があるとき。〕
②次に掲げる場合〔すなわち,契約の一部の不履行が契約一部の目的を達成することができない場合〕には,債権者は,前条の催告をすることなく,直ちに契約の一部の解除〔すなわち,一部解除をすることができる。
一  債務の一部の履行が不能であるとき。
二  債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

第543条(債権者の責めに帰すべき事由による場合)

債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるとき〔すなわち,債務不履行の原因が債務者ではなく,債権者のみに存する場合〕は,債権者は,前2条の規定による契約の解除をすることができない。

第544条(解除権の不可分性)

①当事者の一方が数人ある場合には,契約の解除は,その全員から又はその全員に対してのみ,することができる。
②前項の場合において,解除権が当事者のうちの一人について消滅したとき〔例えば,民法547条(催告による解除権の消滅),または,民法548条(解除権者の責めに帰すべき事由がある目的物の損傷等による解除権の消滅)の事由が生じたとき,〕〔さらに,民法166条1項2号(権利を行使することができる時から10年間行使しないとき)の消滅時効によって消滅したとき〕は,他の者についても消滅する。

第545条(解除の効果)

①当事者の一方がその解除権を行使したときは,各当事者は,その相手方を原状に復させる義務〔すなわち,契約の清算を行う義務〕を負う。ただし,第三者の権利を害することはできない。〔すなわち,解除の意思表示は,善意の第三者に対抗できない。〕
②前項本文の場合において,金銭を返還するときは,その受領の時から利息を付さなければならない。
③第1項本文の場合において,金銭以外の物を返還するときは,その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
④解除権の行使は,損害賠償の請求を妨げない。〔解除の意思表示は,契約の無効・取消しとは異なり,不当利得ではなく,契約の清算関係へと移行する。〕。

第546条(契約の解除と同時履行〔の抗弁権〕)

第533条〔すなわち,同時履行の抗弁権の規定は,前条の場合について準用する。〔例えば,売買契約において目的物に契約不適合があり,買主が民法564条(買主の損害賠償請求権及び解除権の行使)に基づいて売買契約を解除した場合には,売主が目的物の返還を求めたときは,買主は,代金の返還を受けるまで,目的物の返還請求を拒絶することができる。〕

第547条(催告による解除権の消滅)

解除権の行使について期間の定めがないときは,相手方は,解除権を有する者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において,その期間内に解除の通知を受けないときは,解除権は,消滅する。 〔類似する制度として,催告による取消権の消滅(民法20条1項,2項(制限行為能力者の相手方の催告による取消権の消滅(追認)),催告による選択権の消滅(民法408条(選択権の移転)),催告による予約完結権の消滅(民法556条(売買の一方の予約)),催告による配偶者居住権の消滅(民法1032条4項)など〕がある。

第548条(解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)

〔【批判的考察力の育成】
この見出しは,本文との整合性が取れていないので,以下のように改正すべきである,すなわち,「解除権者の責めに帰すべき事由がある目的物の損傷等による解除権の消滅」〕
解除権を有する者が故意若しくは過失注意義務違反〕によって契約の目的物を著しく損傷し,若しくは返還することができなくなったとき,又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは,解除権は,消滅する。ただし,解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは,この限りでない。

第5款 定型約款


第548条の2(定型約款の合意)

①定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって,その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は,次に掲げる場合には,定型約款(定型取引において,契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一  定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二  定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していた〔すなわち,公表とは異なり,利用申込書に約款の利用を表示していた〕とき。
②前項の規定にかかわらず,同項の条項のうち,相手方の権利を制限し,又は相手方の義務を加重する条項であって,その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては,合意をしなかったものとみなす。
〔【批判的考察力の育成】
参照条文:消費者契約法 第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定〔すなわち,任意規定〕の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第1条第2項に規定する基本原則〔信義則〕に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。 〕

第548条の3(定型約款の内容の表示〔義務〕

①定型取引を行い,又は行おうとする定型約款準備者は,定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には,遅滞なく,相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし,定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し,又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは,この限りでない。
②定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは,前条の規定は,適用しない。ただし,一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は,この限りでない。

第548条の4(定型約款の変更〔の自由とその要件〕

①定型約款準備者は,次に掲げる場合には,定型約款の変更をすることにより,変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし,個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一  定型約款の変更が,相手方の一般の利益に適合するとき。
二  定型約款の変更が,契約をした目的に反せず,かつ,変更の必要性,変更後の内容の相当性,この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
②定型約款準備者は,前項の規定による定型約款の変更をするときは,その効力発生時期を定め,かつ,定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインタ~ネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
③第1項第2号の規定による定型約款の変更は,前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ,その効力を生じない。
④第548条の2第2項定型約款の無効〕の規定は,第1項の規定による定型約款の変更については,適用しない。