CriticRevisionObligatios2015
22/32 Ⅱ-5. 原始的不能・特定物ドグマからの解放(3/3)

【テロップ】
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【ノート】
★今回の改正案の最大の問題点は,民法570条(売主の瑕疵担保責任)を削除していることでしょう。 ■確かに,瑕疵担保責任について,通説は,ドイツの学説に影響を受けて,これを契約責任とは別の法定責任であり,特定物にのみ適用されると考えてきました。 ■しかし,立法者は,これを契約責任とは別の法定責任と考えてきたわけではありませんし,判例は,種類債権についても,民法570条を適用してきました。 ■つまり,民法570条は,契約責任,すなわち,「黙示の品質保証責任」と考えることができるのですから,削除する必要は全くないのです。 ★しかも,改正案は,現行法570条を削除した上で,そこに,改正案570条(抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求)という全く別の条文を上書きしてしまったために, ★将来的には,判例を条文番号で検索することができなくなるという致命的な副作用を生じさせています。■ ★改正案は,現行法570条を削除した代わりに,改正案564条(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)をおいています。■ ★改正案564条は,「ゼン二条の規定〔買主の追完請求権,買主の代金減額請求権〕は,第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。」と規定しています。■ ★債務不履行の一般規定としての改正案541条も, ★改正案542条も適用可能だとしています。■ ★しかし,その二つの規定は,改正案543条によって, ★債務不履行が債権者のキセキ事由によるべき場合には,債権者は,改正案541条も542条も利用できないとしています。 ■したがって,債権者である買主は,もしも,引き渡された目的物の契約不適合が,買主の責めにキすべき事由である場合に,契約の解除ができるのかどうか不明であるという状態に陥っています。 ■改正案564条は,一方で,改正案541条と542条だけを準用しており,改正案543条を準用していないので,解除ができるとも考えられますし, ■他方で,改正案541条も542条も,改正案543条の要件を満たす場合には,適用できないので,結果として,解除は出来ないとも解釈できるからです。