LegalInference2016
21/34 「車馬通行止め」の解釈(2/2)車椅子の事例

【テロップ】
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【ノート】
「車馬通行止め」のルールの解釈で,最も困難な場合として,問題となっている対象が,「車馬」に明確に該当するにも関わらず,解釈として反対の結論を導くという場合,すなわち,「例文解釈」の例を考えてみて,次の議論の橋渡しをすることにしましょう。 ★「車馬通行止め」というルールだけが存在する公園に,電動車イスに乗った子供が入園の許可を求めたとしましょう。■ 電動車イスは,明らかに車です。しかし,この場合には,障害者の保護のためにも,入園を許可すべきだと判断したとします。その場合に,ルールに例外規定を設けるのではなく,電動車イスについて,入園を許可することを解釈によって導くことができるのでしょうか?■ その方法を実現するのが,「例文解釈」という方法です。■ まず,「車馬通行止め」のルールにおける「車馬」は,制限列挙ではなく,例示だと考えます。そして,入園が禁止される真の要件とは,公園で遊ぶ子供たちにとって「危険な大型乗り物又は危険な動物」であり,「車馬」は,真の要件を象徴する単なる「例示」だと考えるのです。■ そうすると,車馬以外にも,ライオンやトラ,飛行機等の入園禁止とすることができますし,反対に,小動物である猫や子犬の入園を許可する可能性も出てきます。さらに,自転車であっても,乗らずに押して入るのなら入園を許可するとか,車イスも入園を許可することができます。■ 以上の考え方を使って,民法の中でも,最も解釈が困難といわれている,民法770条とか,民法612条とかの解釈に対して,トゥールミン図式とヴェン図を使う方法で挑戦してみましょう。■