LegalInference2016
28/34 民法612条のトゥールミン図式

【テロップ】
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【ノート】
裁判での議論をトゥールミンの議論の図式で表現すると図のようになります。■ ★(データ) 賃借人は,賃貸人に無断で賃借目的物を第三者に転貸した。■ ★(主張) 賃貸人は賃貸借契約を解除する。転借人は,建物を取り壊して土地を明け渡せ。■ ★(論拠) 民法612条2項は,賃借人が賃貸人に無断で賃貸目的物を譲渡したり,転貸した場合には,賃貸人は賃貸借契約を解除できると規定している。■ ★(反論) 賃貸人は,賃貸人と転借人とが夫婦であり,転借人が建物を所有していることを知りながら賃貸借契約を締結した。たとえ賃貸人の同意を得ていないとしても,離婚に際して,夫が財産分与として,妻に賃借権を譲渡したり転貸したりすることは,背信行為と認めるに足りない特段の事由がある。■ ★(裏づけ)は,以下のようになります。■ ★1. 原則:賃借人との間の信頼関係が破壊されるに至ったときは,賃貸人は,契約の解除をすることができる。■ ★2. 法律上の推定:賃借人が,賃貸人の承諾を得ないで,その賃借権を譲り渡し,又は賃借物を転貸したときは,信頼関係が破壊されたものと推定する。■ ★3. 例外:賃借人の行為が,賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があることを賃借人が証明したときは,賃貸人は,契約の解除をすることができない。■