LegalInference2016
31/34 「信頼関係破壊の法理」はいかにして発見されたのか

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
★民法612条の解釈のように,一見,条文とは異なる解釈が生じたのには,それなりの理由があります。■ ★第1に,社会的背景としては,住宅事情の悪化を受けて,賃借人の保護を図る必要がありました。■ ★第2に,判例は,具体的な事例を通じて,賃貸人による解除が不当と思われる場合には,民法1条の信義則とか権利濫用の法理とかを使って,解除を制限したり,事実認定において,無断転貸とは言えないというような工夫をして,賃貸人の解除を抑制し,次第に,背信的行為に当たらないという特段の事情が認められる場合には,解除はできないとの一般法理を定立するようになります。■ ★学説も,末広,川島,戒能等の先進的な学説が,判例と協調しながら,解雇権濫用禁止の法理の類推等を活用し,最終的には,継続的な契約関係における「信頼関係破壊の法理」を確立していきます。