LegalInference2016
8/34 判決三段論法

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
法的推論は,三段論法に従っているので正しい推論だといわれることがあります。三段論法とは,演繹推論のことです。■ ★例えば,「すべての人間は死ぬ」という命題を大前提として認め,■ 「ソクラテスは人間である」という小前提が明らかであるときには,■ 「ソクラテスは死ぬ」という結論は,常に正しい命題であることが,学問的にも証明されています。■ この三段論法を利用して,判決の正しさを正当化しようとする試みのことを,「判決三段論法」と呼んでいます。■ もっとも,大前提となる実体法のルールは,大前提として使えるような単純な命題とは異なり,そのほとんどが,原則と但し書きの複雑な組み合わせとして書かれているため,厳密にいうと,判決を三段論法で正当化することはできません。■ しかし,法律家の多くは,判決は,三段論法によって正当化されていると信じており,いわば,通説となっていますので,その思考方法を簡単に説明しておくことにしましょう。■ ★判決三段論法は,実体法のルール,例えば,民法709条を大前提とし,■ 訴訟における事実認定で明らかとなった事実,■ すなわち,乗用車を運転していた被告は,故意又は過失(例えば,被告は,前方を十分に確認することなく(過失),急にハンドルを左に切ってしまったこと)によって,■ 原告の自転車に衝突して,原告に全治3か月の傷害(損害額100万円)を負わせたという事実を小前提とし,■ 小前提としての認定事実に,実体法のルール(民法709条)を適用して,結論を導き,「被告は,原告に対して,100万円を支払え」という判決を下すということは,三段論法によって正当化されるというものです。■