2002年度家族法試験問題
2003年2月4日
名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂
以下の問題1,問題2の問題文をよく読んで,それぞれ,指示にしたがって解答しなさい。
問題1 法定夫婦財産制に関して,別産制の問題点について,以下の点に言及しながら論じなさい(50点)。
- 家制度の下,民法旧規定においては,法定夫婦財産制はどのように規定され,どのような機能を果たしていたか。
- 現行民法における法定夫婦財産制はどのような特色を有し,どのような機能を果たしているか。
- 不動産の単独所有と共有とを区別する基準をどのように考えるか。例えば,建物の区分所有等に関する法律の考え方を参考にして検討しなさい。
- 最三判昭34・7・14民集13巻7号1023頁は,「夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、右の土地を妻の特有財産と解すべきではない。」としているが,逆に,妻のいわゆる内助の功でローンの支払ができた夫名義のマイホームについて,夫の名義となっているだけで,「夫の特有財産と解すべき」という結論を導くことは可能だろうか。
- 現行の法定夫婦財産制の規定に問題があるとすれば,どのように改正されるべきか。
問題2 相続人は,被相続人甲の配偶者乙と4人の子A,B,C,Dの5名である。現存遺産は2,400万円の積極財産だけで相続債務はない。子Aに1,200万円,子Cには400万円の生前贈与がなされていたほか,Bに対しては,1,800万円の遺贈がなされていた。相続人のうち,誰が,誰に対して,いかなる範囲で遺留分の減殺請求をなしうるか。以下の順序で考察を行い,それぞれの結果を記述し,最後に結果に対する問題点を指摘しなさい(50点)。
- みなし相続財産=
- 遺留分の基礎となる財産額=
- 乙,A,B,C,Dのそれぞれの遺留分額はいくらか。
- 持戻しを考慮して,乙,A,B,C,Dが相続によって取得する一般的な具体的相続分はそれぞれいくらか。
- 乙の具体的な相続分=
- Aの具体的な相続分=
- Bの具体的な相続分=
- Cの具体的な相続分=
- Dの具体的な相続分=
- 正味の遺産額を考慮した場合,乙,A,B,C,Dに配分できる具体的財産額はそれぞれいくらになるか。
- 乙の得る具体的財産額=
- Aの得る具体的財産額=
- Bの得る具体的財産額=
- Cの得る具体的財産額=
- Dの得る具体的財産額=
- 乙,A,B,C,Dが負担する債務額はそれぞれいくらか。
- 乙,A,B,C,Dについて,遺留分侵害額が生じているとすれば,それぞれいくらか。
- 乙に対する遺留分侵害額=
- Aに対する遺留分侵害額=
- Bに対する遺留分侵害額=
- Cに対する遺留分侵害額=
- Dに対する遺留分侵害額=
- 遺留分を侵害されている者がいるとすれば,その者は,誰に対して,いくらの減殺請求をなしうるか。
- ( )は,( )に対して,( )万円の減殺請求をなしうる。
- ( )は,( )に対して,( )万円の減殺請求をなしうる。
- 遺留分権者が遺留分の減殺をした後の,A,B,Cの最終的な相続分額はそれぞれいくらになるか。なお,減殺後の特別受益額,遺贈額を( )内に記述すること。
- 乙の最終的な相続分額=
- Aの最終的な相続分額(特別受益)=
- Bの最終的な相続分額(遺贈額)=
- Cの最終的な相続分額(特別受益)=
- Dの最終的な相続分額=
- 最終結果に関する問題点の指摘(なお,問題点がない場合には,「問題点なし」とすること。)