2006年度 民法1A 第1回中間試験


学籍番号 氏名
   

2006年5月26日

明治学院大学法科大学院教授 加賀山 茂


枠内に書かれた事例をよく読み,それぞれの問題に答えなさい。解答に際しては,結論と理由(根拠条文)とを明確に示すこと。

 Aは,甲不動産を安値でBに売却し,登記もBに移した。Aは,Bから,今後景気はますます悪くなり,政府の景気対策も見込まれていないので,A所有の不動産はこれから値下がりする。今のうちに処分したほうがよいといわれたからであった。
 ところが,その直後に,大規模な景気対策が講じられて,甲不動産は高騰した。Bにだまされたことを知ったAは,AB間の売買契約を取り消し,甲不動産の返還と登記の抹消を求めてBを訴えたが,Bは,訴えの提起直後に,甲不動産を善意のCに売却し,大儲けをした。
 Aは,Cに対して,甲不動産の返還を求めて訴えを提起した。その間に,AのBに対する訴えについては,Aが勝訴し,登記は,Aに帰っている。
 AのCに対する請求は認められるか。

問題1】AのCに対する請求権の名前と,条文上,判例上,または,学説上の根拠を示しなさい(10点)。

















問題2】登記を得たAを保護するためにはどのような論理を展開すべきか。条文上の根拠,判例,または,学説上の根拠を示して答えなさい(30点)。



























【問題3】善意の第三者Cを保護するためにはどのような論理を展開すべきか。条文上の根拠,判例,または,学説上の根拠を示して答えなさい(30点)。
































問題4】以上の検討を踏まえた上で,AのCに対する請求が認められるかどうか,結論を述べた上で,その論理を展開しなさい(30点)。