01Orientation
17/37 議論の図式(トゥールミン図式)による議論の可視化(民法93条)

【テロップ】
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【ノート】
民法93条(心裡留保)の条文について,冗談で意思表示をした表意者(本人)と,それを真に受けた相手方との間の議論として受け止めると,民法93条の理解が容易になります。 例えば,本人が冗談で,10万円の時計を1万円で相手方に売るといい,相手方がそれをマに受けて,1万円を提供したところ,本人は,冗談だから売買は無効だとして,時計の引渡を拒絶したとしましょう。 ■相手方は,次のように主張すると思います。 冗談であろうと,表意者は10万円の時計を1万円で売るという有効な申込みの意思表示を行い,相手方である私は,それをマに受けて,有効な申込みの意思表示に対して,承諾の意思表示をしたのですから,売買契約は有効に成立しています。 この主張は,表意者は,意思表示に責任を持つべきであるという論拠に基づいており,その主張は,反論がなければ,受け入れられるべきレベルに達しています。 ■これに対して,表意者は,次のように主張すると思います。 確かに,表意者である私は,10万円の時計を1万円で売りたいという申込みをしましたが,その場の雰囲気で冗談手言ったことであり,相手方は,私が冗談でいったことを知っていたか,その場の雰囲気で,冗談であることを知るべきだったので,そのような場合には,真意でない意思表示は無効となりますので,私は,相手方に時計を引き渡す義務はありません。 ■このような紛争を解決すべき法理としての裏づけは以下の通りです。 表意者が,意識的に真意とは異なる意思表示をして,誤った概観を作り出した場合には, ■概観があっても,それに伴う意思がかけているのであるから,相手方がそのことを知っているか,知るべきであった場合には,原則どおり,意思表示は無効となる。 しかし,真意がかけていても,相手方が事情を知らず,知ることもできなかった場合には,意思表示は有効となります。 ■この場合,相手方が信じるに至った誤った概観が作り出されたのは,表意者のせいですので,相手方がそれを知っていたか,知るべきだったという事実は,表意者が証明しなければなりません。 ■このように,トゥールミンの議論の図式は,紛争当事者の主張と論拠,それを導く裏づけと証明責任の分配を図示できるので,条文自体の構造を説明するのに適していると思います。