01Orientation
18/37 議論の図式(トゥールミン図式)による議論の可視化(民法612条)

【テロップ】
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【ノート】
トゥールミンの議論の図式は,条文の構造の解明だけでなく,判例によって条文の実質的な意味が変更された場合にも,有効です。 ■例えば,賃借人が,賃貸人に無断で賃借権を譲渡したり,無断で転貸した場合,条文では,賃貸人は賃貸借契約を解除して,賃借人と転借人とを追い出すことができるとしています。 ■しかし,判例は,賃貸人の解除権を制限する法理,すなわち,賃借人が賃貸人との間の信頼関係を破壊した場合にのみ契約を解除できるという,「信頼関係破壊の法理」を確立しています。 賃貸人は,賃借人が無断で賃借物を転貸したのだから,民法の条文である612条にしたがって,賃貸者契約を解除し,賃貸人,転借人を追い出すことができると主張します。■ これに対して,賃借人は,転借人は,賃借人の家族である等の特段の事由があり,転貸によっても,信頼関係は破壊されていないと反論します。 ■この場合の裏づけとなる判例法理は以下の通りです。 継続的な契約関係においては,当事者が信頼関係を破壊したときには,しかも,そのときにだけ契約を解除できます。■ 信頼関係を破壊したかどうかは判断が難しいので,民法が規定する,無断転貸の事実があれば,信頼関係が破壊されたことが推定されます。■ しかし,賃貸人の方で,無断転貸によっても,信頼関係が破壊されないという特段の事由,例えば,親族とか子会社とかに転貸しただけだということを証明した場合には,法律上の推定が覆り,信頼関係は破壊されていないことになって,賃貸人は解除ができなくなるのです。 ■このように,トゥールミン図式は,条文の構造だけでなく,判例によって導きだされた判例法理の構造を理解する場合にも,大いに役立ちます。