01Orientation
5/37 建学の精神 “Do for others” の民法的解釈

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
■“Do for others”の精神を法律的に厳密に突き詰めると,どのような意味になるのでしょうか? ■“Do for others”の精神については,自分が望むことと,他人が望むこととは,必ずしも一致するとは限らないため,場合によっては,「小さな親切,大きなお世話」という事態が生じかねません。■ “Do for others”を法律的に,厳密に考察すると,どのようなことになるのでしょうか? ■この点について,民法には,「頼まれもしないのに他人のためにサービスを提供する」という▲事務管理に関する規定があります。 六法を開いて,民法697条(事務管理)の条文を読んでみましょう。 民法697条▲第1項■義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は,その事務の性質に従い,最も本人の利益に適合する方法によって,その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。■ 民法697条▲第2項■管理者は,本人の意思を知っているとき,又はこれを▲推知することができるときは,その意思に従って事務管理をしなければならない。 ■この条文で重要なことは,第1項▲が原則に見えますが,むしろ,第2項▲が原則であり,「他人の意思」を尊重することが何よりも大切だということです。 ■他人の意思を知ることも,推知▲することもできないという,例外的な場合にのみ,第1項,すなわち,「最も本人の利益に適合するように行動する」という有名な▲「適合性原則」▲が適用されるのです。 民法において,“Do for others”が規定されている民法697条の立法理由は,何だったのでしょうか? ■六法で民法697条の条文を参照しつつ,立法理由書を読んでみましょう。 ■民法697条の立法理由は,以下の通りです。■ 本条第2項は,管理の方法に付き本人の意思が管理者に明白なるか又は之を推知することをうる場合においては,第1項に規定する所の管理の方法によらずして,むしろ,本人の意思に従い管理をなすべきことを規定し,■ 事務管理の名義を以て濫りに他人の事務に干渉し,本人の欲せざることを行うこと▲なからしむるものにして,■ 本人の意思に反するも,なおかつ,この者に利益なりとして,その事務に干渉するがごときは,事務管理の立法の本旨に反し,むしろ▲不当利得の規定に▲従わしむ▲べきもの▲というべし。 ■以上のことからも,“Do for others”を実践するに際しては,自分が良かれと思うことを他人に行うのではなく,相手の意思を丁寧に聞き出し,その意思を実現するための最もよい方法を模索し,それを実現すべく,援助することであることが分かります。 ■そうであってこそ,“Do for others”が「小さな親切,大きなお世話」へと陥ることを防ぐことができるのです。