05BankTransfer
2/25 第三者のためにする契約民法,特別法,判例の適用可能領域

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
第三者のためにする契約は,民法では,明文の規定だけ見ると,537条から539条までのわずか,4か条しか規定がありません。しかし,特別法を見ると,非常に多くの規定があり,経済社会,特に,金融関係では,非常に大きな役割を果たしています。それを概観してみることにしましょう。■ 第1は,民法です。■ 第三者のためにする契約の明文の規定は,民法537条~539条にあります。 ■そのほかに,供託(民法494条~498条)も,契約の観点から見ると,債務者を要約者,国家を諾約シャ,真の債権者を受益者とする,第三者のためにする契約なのです。■ 民法の特別法には,第三者のためにする契約に関する多くの規定があります。■ 保険法は,第三者のためにする契約の典型例です。 ■リスクが増大する今後の社会において,保険契約がリスクを分散するための保険契約は,最も発展が見込まれる社会システムです。この保険契約が第三者のためにする契約を利用していることを十分に認識し,第三者のためにする契約の学習を行うべきです。■ 責任契約は,損害保険と生命保険に分けられますが,損害保険の中で最も重要な地位を占める責任保険(保険法8条)は,第三者のためにする契約です。 ■責任保険の構造は,加害者である被保険者が要約者であり,保険会社が諾約シャであり,被害者が受益者であると考えると,よく理解できます。■ 生命保険(保険法42条)は,第三者のためにする契約の典型例です。 ■被保険者が要約者,保険会社が諾約シャ,保険金受取人が受益者です。保険契約においては,受益の意思表示を必要としない点が特色です。■ 信託法においても,受益権の取得(信託法88条)は,第三者のためにする契約に基づいて規定されています。■ 商法においても,第三者のためにする契約が大きな役割を果たしています。■ 現在,大発展している宅配便の運送契約(商法583条)も,第三者のためにする契約が利用されており,荷送り人が要約者,運送会社が諾約シャ,荷受け人が受益者です。■ 条文にない領域でも,判例法が大いに発展しています。■ 債務引受を第三者のためにする契約で成立させることができることは,古くから判例で認められてきました。大審院▲大正6年11月1日▲判決▲民録23輯1715頁が,リーディングケースです。■ 契約上の地位の譲渡についても,最高裁▲第二小法廷▲昭和46年4月23日▲判決▲民事判例集25巻3号388頁は,そのように解釈することができます。■ 銀行振込みの前身であり,現在は使われていない電信送金について,最高裁▲第一小法廷▲昭和43年12月5日▲判決▲民事判例集22巻13号2876頁は,電信送金契約について,それは,第三者のためにする契約ではないと判断しました。 ■これが原因となって,第三者のためにする契約の理論的な発展が遅れてしまったのですが,振込みについては,第三者のためにする契約によって理論構成することが可能だと,私は考えています。■ 判例も,銀行振込について,大審院▲昭和9年5月25日▲判決▲民事判例集13巻829頁は,第三者のためにする契約によることを肯定します。この判例については,一部に,第三者のためにする契約を否定しているとの評釈がありますが,判決文をよく読んでみると,第三者のためにする契約によることを認めていることがわかります。