06StipulationAutrui
17/95 第三者のためにする契約民法537条の理解 (5/5)

【テロップ】
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【ノート】
現行民法の立法者は,その理由書において,旧民法は,第三者のためにする契約を否定していると述べていましたが,本当にそうなのでしょうか?■ 旧民法をよく読んでみると,旧民法は,「第三者のためにする契約」の有効性を否定していないことが分かります。■ 確かに,旧民法は,原因(cause)を契約の有効ヨウケンとするフランス民法1108条,1131条の影響を受けて,原因を欠く契約は無効としていました(財産編 第304条)。■ しかし,旧民法も,合法的な原因関係と対価ヨウケンのもとに「第三者のためにする契約」を肯定しています(財産編第323条▲第3項)。■ したがって,現行民法の立法理由が, 「既成法典〔旧民法〕はこの種の契約〔第三者のためにする契約〕を無効とせり」としているのは,明らかな誤解です。■ 確かに,原因(対価)関係の不存在をもって,一律に契約の無効原因とすることは誤りですが,契約の有効・無効を判断するに際して,今なお有用な考慮事項であることに変わりはありません。■ このような原因(cause)の考え方は,英米法が契約の有効性について,対価関係(Consideration)を要求しているのと同じであり,一律に契約の無効原因とするのは誤りですが,考慮事項として有用です。■ もちろん,原因と対価関係は,一般論としては否定しようとするのが世界の傾向ですが,具体的な事例においては,常に念頭に置くべき考慮事項なのです。■ したがって,わが国の学説が,第三者のためにする契約において,有効な「対価関係」の存在を 前提として要求しているのは,正当であると,私は考えています。■