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15/39 民法(債権関係)改正案473条「分かりやすい条文」の真実

【テロップ】
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【ノート】
現行民法は,弁済の規定を「第三者の弁済」から始めており,債務者の弁済について,規定を置いていません。 ■その理由は,債務者が弁済をできることは,わかりきったことだからというものです。 ■しかし,分かりきったことでも,「弁済は債務者がすることができるだけでなく,第三者もすることができる」と規定することは,民法を分かりやすくするために必要なことだと思われます。■ そこで,民法(債権関係)改正案は第473条(弁済)を新設して,債務者の弁済について,以下のように規定することにしています。■ 改正案473条■債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは,その債権は,消滅する。 ■一見したところ,無難な規定で,問題がないように見えますが,二つの点で,問題を残しています。 ■第1点は,条文を「第473条の2」とせずに,現行法473条を上書きすることによって削除した点にあります。■ 現行法民法の473条を削除する場合に,条文を残した上で,民法473条(無記名債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)【削除】とすべきでした。■ 新設条文の番号を現行条文の番号を流用すると,新設条文かどうか分かりにくくなるからです。 ■この条文は,新設条文であることを明らかにするためには,改正案「第473条の2」とすべきだったのです。■ 第2の問題点は,改正案473条は,一見したところ,わかりやすそうな条文ですが,実は,内容は不正確であり,誤りに陥っています。■ なぜなら,保証債務の場合には,債務を弁済しても,その全額が弁済による代位(民法500条)によって保証人に移転するため,債権は,全く消滅しないからです。■ 連帯債務者が連帯代務を全額弁済したときにも,負担部分を超える範囲で,弁済による代位(民法500条以下)が生じ,連帯債務者に移転するだけで,その範囲で債権は消滅しません。 ■なぜ,このような誤りが生じたのでしょうか。 ■改正案473条を,「債務者は債権者に対して債務の弁済をすることができる。」までで,とどめておけば,正確で分かりやすい規定になることができたはずです。 ■改正案の起草者は,それでは,余りに無味乾燥だと思ったのでしょう。さらに一歩を踏み出したところで,誤りに陥ったのです。 ■正確さと分かりやすさだけを追及していたら,このような誤りに陥ることはなかったのですから,立法は,容易ではないということができます。