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11/23 同時履行の抗弁権と留置権

【テロップ】
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【ノート】
同時履行の抗弁権との関係で,リュウチ権は,物権か,それとも,同時履行の抗弁権に類似する引渡し拒絶の抗弁権か?について,検討します。■ 通説は,リュウチ権を■ 物権として説明しています。■ しかし,リュウチ権を物権として説明すると,矛盾が生じます。なぜなら,リュウチ権には物権の権能としての,使用・収益・換価・処分のいずれの権利も備わっていないからです。 ■そればかりでなく,リュウチ権の対抗ヨウケンは,不動産リュウチ権の場合にも,民法177条に規定されている登記ではなく,占有の継続ですし,動産リュウチ権の場合も,民法178条に規定されている引渡しではなく,占有の継続です。 ■つまり,リュウチ権は,物権としての基本的な機能を有していませんし,対抗ヨウケンも,物権総則の民法177条,178条に反しており,物権というには,余りにも無理が多すぎます。■ 例外を極力なくして,体系性を重視する加賀山説では,■ リュウチ権を物権ではなく,債権上の引渡し拒絶の抗弁権として説明します。■ リュウチ権の典型例を図解します。 ■ここでは,同時履行の抗弁権と,リュウチ権とを同時に説明できる便利な例として,請負契約としての修理契約で説明します。■ 請負人である修理業者が自動車の修理をすると,■ 自動車の修理の注文者である自動車の所有者に対して,■ 修理代金請求権,すなわち報酬請求権を取得します。■ 修理の注文者である自動車の所有者が自動車の引渡しを請求しても,■ 請負人である修理業者は,双務契約である請負契約上の報酬請求権と引渡し請求権が同時履行の関係にあることを理由に,民法533条に基づいて,引渡しを拒絶することができます。■ しかし,注文者が,自動車を第三者に売却した場合には,事情が異なります。■ もしも,自動車を譲り受けた新所有者が,請負人に対して,自動車の返還を請求した場合には,同時履行の抗弁権は,契約当事者間に限って利用できる抗弁権であるため,新所有者には対抗できません。■ しかし,この場合にも,請負人は,注文者に対する報酬請求権を被担保債権として,第三者である新所有者に対しても,リュウチ権によって,報酬が支払われるまで,引渡しを拒絶することができます。■ ■リュウチ権も,引き換え給付判決によって同時履行が実現されるという意味で,同時履行の抗弁権と同様の拒絶の抗弁権なのです。 ■つまり,リュウチ権と同時履行の抗弁権の違いは,同時履行の抗弁権が,契約当事者以外の第三者には原則として対抗できないのに比べて,リュウチ権の場合には,占有の継続をもって,第三者にも対抗できるという点にあります。■ リュウチ権の場合,第三者との間での引き換え給付判決を通じて,事実上の優先弁済権が実現されることになるのです。