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13/23 不安の抗弁権(1/2)

【テロップ】
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【ノート】
同時履行の抗弁権に似ているけれども,少し違う制度として,不安の抗弁権があります。■ ドイツ民法321条は,以下のように規定して,不安の抗弁権の意味を明らかにしています。■ 双務契約の成立後に,セン履行義務者の相手方の財産状態が悪化し,債務の履行が期待し得なくなった場合には,セン履行義務者は,相手方の履行請求に対し,自己の債務のセン履行を拒絶できる。 ■つまり,双務契約において,同時履行ではなく,どちらかがセン履行である場合,例えば,雇用契約においては,労務の提供後にはじめて報酬請求権が発生するというように,労務の提供がセン履行の場合であっても,使用者の財産状態が悪化して,報酬の支払いが期待できなくなった場合には,雇用者は,同時履行の抗弁権を主張しうるというものです。■ わが国の民法の規定においても,不安の抗弁権と同じ趣旨による規定が存在します。■ 民法576条(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)は,以下のように規定しています。■ 売買の目的について権利を主張する者があるために,買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは,買主は,その危険の限度に応じて,代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし,売主が相当の担保を供したときは,この限りでない。 ■これまで,わが国には,不安の抗弁の規定はないとされていましたが,このように見てくると,わが国にも,不安の抗弁の趣旨に合致する規定が存在しており,これを土台にして,不安の抗弁権を一般的に論じることが可能であると,私は考えています。