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4/23 弁済の提供の効果の行き過ぎ

【テロップ】
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【ノート】
わが国の弁済提供の制度が,債務者に過剰な保護を与えている点について,立法理由にさかのぼって検討します。■ 弁済の提供の効果に関する民法492条は,民法理由書によれば,旧民法▲財産編第476条,および,第478条を修正したものです。■ 旧民法は,フランス民法に倣って,弁済の提供につき,それは供託の準備にすぎず,■ 債務者の遅滞の責任のみを免責するだけであり(旧民法▲財産編▲第476条),■ その後に供託をした場合に限って,債務者を免責し,危険を債権者に負担させるとしていました(同法▲同編▲第478条)。■ これに対して,現行民法の起草者は,■ 弁済の「債権者は,不履行にもとづく一切の責任をまぬかれ,このとき以後,危険の負担は,債権者に移転するものとなせり」として,民法492条によって,弁済の提供に,供託とは独立した効果を付与しました。■ しかし,これは,国際的に見ても,行き過ぎです。■ 供託をせずに,弁済提供のまま供託を怠る債務者を過剰に保護する必要はありません。■ しかも,このことが,ドイツ民法に倣って取り入れられた「受領遅滞」の制度と結びつくことによって,債権者に大きなしわ寄せが生じています。 ■すなわち,さまざまな理由(例えば,弁済目的物に重大な瑕疵があるなど)に基づいて弁済を拒絶した債権者は,履行不能の際の危険を転嫁され(改正法案▲第413条2項,第413条の2),結果的に解除権を奪われる(改正法案▲第543条)という,国際的な傾向からは全く外れた不当な結果を甘受しなければならなくなっているからです。■ これらの不当な結果が生じる根本原因は,弁済の提供にあまりにも強い効果を与えすぎたことにあるのですから,民法492条は,以下のように修正されるべきだと,私は考えています。■ すなわち,債務者は,供託によって債務を消滅させた時に限り,弁済の提供の時から,履行遅滞の責任を免れる。