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2/25 三者間相殺(Aを相殺権者とした場合の3類型)

【テロップ】
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【ノート】
民法505条以下のソウサイの規定は,二者間でのソウサイを前提としています。 ■しかし,民法全体を見渡すと,ソウサイは,必ずしも,二者間で行われるばかりでなく, ■三者間で行われるソウサイが規定されています。 ■これから,詳しく説明しますが,■ ★例えば,第1に,民法468条(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)▲第2項は, ■「譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは,債務者は,その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。」と規定しています。 ■民法468条第2項の債務者の抗弁事由に,ソウサイの抗弁が含まれていることは立法者が明確に述べていましたし, ■最高裁昭和42年判決(すなわち,最高裁▲第二小法廷▲昭和42年10月27日判決▲民事判例集▲21巻8号2161頁)は,▲「譲渡前に既に生じていた債権ばかりでなく,譲渡前に原因が生じており,譲渡後に発生した債権を自働債権として,ソウサイすることができる」▲と判示していました。 ■今回の民法(債権関係)改正によって,現行民法469条(指図債権の譲渡の対抗ヨウケン)が,改正案第520条の2へと移され,その代わりに,改正案第469条(債権の譲渡におけるソウサイ権)が新設されて,先に述べた最高裁▲昭和42年判決の法理を明文化するに至っています。 ■したがって,現行民法468条2項,それに関する判例の法理を明文化した改正案469条によって,債権の譲受人(C)の債務者(A)への請求に対して,債務者が,債権の譲受人(B)に対して,以前から有していた,または,一定の場合には,譲渡後に有している債権を自働債権としてソウサイすることが認められているのです。 ■これが,C→A→B型(すなわち,債権譲渡のソウサイの抗弁型)という▲第1類型です。 ★そのほかの例として,第2に,民法436条(連帯債務者の1人によるソウサイ等)▲第1項は, ■「連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合において,その連帯債務者がソウサイを援用したときは,債権は,すべての連帯債務者の利益のために消滅する。」と規定しています。 ■この規定は,単に,債権者と連帯債務者とにおける▲二当事者間のソウサイのようにも見えますが, ■それによって,債権者と他の連帯債務者間でも,負担部分の限度でソウサイによって連帯債務が消滅することに着目するならば, ■連帯債務者の一人(A)が債権者に対して有している▲自働債権をもって,自己に対するジュドウ債権ばかりでなく,債権者(B)の第三者である他の連帯債務者(C)に対するジュドウ債権をソウサイによって消滅させていると考えることもできます。 ■これが,三者間ソウサイにおける第2類型▲A→B→C型(すなわち,連帯債務者ソウサイ型)です。■ ★最後の例として,第3に,民法457条▲第2項は, ■「保証人は,主たる債務者の債権によるソウサイをもって債権者に対抗することができる。」と規定しています。 ■この規定は,一見したところでは,二者間ソウサイを利害関係を有する第三者である保証人が援用できるとした規定に過ぎないと考えることもできますが,■ ■考えようによっては,債務者(B)の債権者(C)に対する債権を自働債権として,債権者から保証人(A)に対する請求をジュドウ債権として,三者間でソウサイしたものと考えることができます。 ■これが,三者間ソウサイにおけるB→C→A型(すなわち,保証人ソウサイ型)です。 ■このように,民法505条以下だけを見ると,ソウサイは,二当事者間でのみ行われるように見えますが,民法全体を見渡すと,三者間で行われるソウサイに関して,その全ての類型が,じつは,民法の多数当事者の債権・債務関係,および,債権譲渡の箇所において規定されていることが分かります。 ■確かに,三者間ソウサイは,複雑な構造をしているため,普通の大学では,詳しく説明されることはありません。 ■しかし,私の講義では,三者間ソウサイは,金融における決済手段として重要な制度なので,詳しく解説します。 ■三者間ソウサイと,マルチラテラル・ネッティングは,社会に出たときに,非常に役に立つ考え方が含まれていますので,しっかり理解するようにしてください。