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21/32 自賠保険の保険金の請求権者→図解

【テロップ】
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【ノート】
自賠法3条の損害賠償請求権は,政府と企業が拠出する損害保険によって,その履行が確保されています。なぜなら,すべての自動車の保有者は,この損害賠償保険に強制的に加入させられるからです。 ■この責任保険の保険金を請求できるのは誰なのかを検討しましょう。 ■自賠法16条の規定を見てみましょう。 自賠法▲第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)■ 自賠法▲第16条▲第1項▲「第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは,被害者は,政令で定めるところにより,保険会社に対し,保険金額の限度において,損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。」 ■しかし,この責任保険に加入した保険契約者(被保険者)は,加害者の方です。 ■加害者は,この責任保険の保険金を受け取ることができないのでしょうか? ■この保険は,自賠法3条が規定する加害者の責任を確保するための責任保険ですから,被害者を救済するため,被保険者の保険金請求権よりも,被害者の権利を優先しています。したがって,加害者である被保険者が保険金を請求できるのは,保険会社に代わって,加害者が被害者に損害賠償を支払ったときに限ります。 ■もしも,保険会社が保険金を被害者よりも先に加害者に支払ってしまうと,その保険金が被害者の損害賠償に使われるかどうか保障の限りではないからです。 ■そこで,自賠法15条は,被保険者である加害者が被害者に対して損害賠償を行わない限り,保険会社が加害者である被保険者に保険金を支払うことを禁止し,被害者が直接▲保険会社に対して,保険金を請求する制度を確立したのです。 ■自賠法15条を見てみましょう。 自賠法▲第15条(保険金の請求)■ 被保険者は,被害者に対する損害賠償額について,自己が支払をした限度においてのみ,保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。 ■この場合には,被害者は,損害賠償を受け取っているのですから,保険会社に保険金の請求をすることができなくなります。 ■自賠法16条に戻って,第2項を見てみましょう。 自賠法16条▲第2項▲「被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において,保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは,保険会社は,そのてん補した金額の限度において,被害者に対する前項の支払の義務をまぬかれる。」 ■以上の保険金の支払のメカニズムを図解によって,わかりやすく示すことにしましょう。