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24/64 製造物責任法(1994年)(1/3)定義→責任,免責
【テロップ】
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【ノート】
製造物責任法3条を理解するのに先立って,製造物責任の前提となっている重要な概念について,その定義を見ておくことにしましょう。 他の法律と同様,製造物責任法においても,「定義規定」は第2条にあります。■ 製造物責任法第2条▲第1項▲「この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。」 ■諸外国の製造物責任法と同様,製造物には,製造又は加工されていない物としての自然産物は除外されています。 ■諸外国の製造物責任法とは異なり,わが国の製造物責任法は,欠陥不動産を製造物責任から除外しています。 ■立法の模範とされていたEC指令が加盟国の製造物責任法の調整を目的としており,流通しない不動産を除外していたのに悪乗りしたためです。 ■EU加盟国の国内法としての製造物責任法において,不動産を除外している国がないことからも,わが国の製造物責任法が,不動産を除外することに理論的な根拠がないことは,明らかだと思われます。 製造物責任法第2条▲第2項▲「この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期,その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常▲有すべき安全性を欠いていることをいう。」 ■欠陥の定義です。結論は,「欠陥とは,製造物が通常▲有すべき安全性を欠いていること」という単純なものです。 ■しかし,その結論を導くプロセスとして,裁判官に,その考慮事項を明示している点にこの定義の特色があります。 ■欠陥があるかどうかの認定に際しては,第1に,その「製造物の特性」が考慮されなければなりません。消費者が購入に先立って,その危険を知りうる「機械もの」か,購入に先立ってその危険性を知りえない「化学もの」かを考慮し,後者の場合には,欠陥の認定を緩やかにする必要があります。 ■第2に,製造物の「通常予見される使用形態」が考慮されなければなりません。消費者の「ご使用」と思われる場合でも,それが,通常予見できる使用形態であれば,裁判官は,製造物に「欠陥」があると認定することができます。 ■第3に,「製造物を引き渡した時期,そのたの事情」とは,のちに,免責事由の箇所で述べる「開発危険の抗弁」とも関係しますが,商品を市場に出した時点で,危険が全く知られていなかったどうかが考慮されなければなりません。例えば,当該製品が市場に出された当時,一般には危険が知られていなかったとしても,学術論文で危険を指摘するものが,すでに公表されていた場合には,裁判官は,欠陥があると認定することができます。 ■つぎは,製造物責任の責任主体である「製造業者等」の定義です。■ 製造物責任法第2条第3項はしらがき▲「この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。」 ■「製造業者等」のうち,第1は,「製造業者」そのものです。■ 製造物責任法第2条▲第3項▲第1号▲「当該製造物をギョウとして製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)」 ■「わが国の製造物責任法の特色は,責任主体から,販売業者を除外している点にありますが,輸入業者は,販売業者であるにもかかわらず,製造業者として定義されています。輸入品について,外国の製造業者を相手取って訴訟を起こすことは,消費者にとっては,現実的でないと判断されたためです。 ■諸外国の製造物責任法には,製造者と販売業者とを連帯責任としているものが多いのですが,わが国の製造物責任法は,輸入業者を除いて,販売業者を免責しています。 ■わが国の製造物責任法も,消費者の利便を考慮するならば,輸入業者の場合と同様に,製造業者だけでなく,販売業者も製造物責任の責任主体とするべきであったと,私は考えています。 ■「製造業者等」の定義のうち,第2は,「表示製造業者」です。■ 製造物責任法第2条▲第3項▲第2号▲「自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者」 ■「製造業者等」の定義のうち,第3は,「実質製造業者」です。■ 製造物責任法第2条▲第3項▲前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者 ■以上の定義規定を押さえた上で,つぎに,製造物責任の要件を規定している製造物責任法3条を見てみることにしましょう。