TracficAccident&PLver2
32/64 補遺 その1
【テロップ】
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【ノート】
『空飛ぶタイヤ』事件において,経営学的な分析をした場合において,それに関連して生じる法的問題について,補足します。 第1は,コンプライアンスとは何か? を問題にします。 ■不祥事に絡んで,最近,経営学でも盛んに問題とされている企業のコンプライアンスですが,もともとは,法令遵守という意味ですから,法律学の問題です。 ■経営学が利益の追求に焦点を合わせていたころは,コンプライアンスは二の次でした。 ■しかし,現在では,コンプライアンスを重視しない企業は, 以下のように,三つの領域で,孤立・無援の状況に陥ります。 ■第1に,消費者から見切りをつけられ, ■第2に,取引先,取引銀行からは,援助を受けられず, ■第3に,企業自身が,ブラック企業として,優れた人材を得ることができなくなっていきます。 ■このように,現在においては,利益の追求は,コンプライアンスを前提としてしか成り立たないというべきでしょう。 経営にコンプライアンスが必要となるということは,経営に利益追求だけでなく,経営に正義を求めることになります。 ■それでは,正義とは何でしょうか? ■これも,法律に絡んだ問題なので,ここでは,正義を三つの側面から考えてみることにします。 まず,正義をシステムの考え方によってアプローチしてみましょう。 つぎに,正義かどうかを判断する基準からアプローチしてみましょう。 最後に,正義を競争秩序に不可欠の公共財という観点からアプローチしてみましょう。 ■最近では,消費者関係法が整備されつつあり,のちに詳しく検討しますが,消費者基本法▲第5条は,事業者の責務として,「事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。」との規定をおいております。 そこで,事業者の責務としてのコンプライアンスを 消費者法,消費者契約法の条文を読みながら検討し, 消費者の権利を実現するという視点から, さまざまな自主行動基準をチェックしてみましょう。■ その後は,消費者の権利として注目を集めている差止請求権について検討します。■ 差止請求権は,民事責任の原則である事後的な救済の例外として予防請求を認めるものなので, 消費者契約法12条以下,そして,一般法としての民法における差止請求権について検討します。■ 差止請求は,民事請求としては例外に属するので,なかなか認められない時期が続いたのですが, 最近では,回復が困難な損害が予想できる場合には,言論の自由として守られてきた出版物の発行でさえ,差し止めることが,最高裁判所の判決によって認められるにいたっています。■ あわせて,社会的評価を傷つけられた法人が慰謝料を請求をできるのかどうか,この問題についても,最高裁判所の判例を検討しておくことにします。