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36/64 事業者の責務としてのコンプライアンス

【テロップ】
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【ノート】
コンプライアンスを消費者の視点から見るとどうなるかについては,後に述べるように,松本恒雄編著『消費者からみたコンプライアンス経営』商事法務(2007)が参考になります。 消費者基本法は,1968年に成立したときは,消費者保護基本法でしたが,保護から自立へとのスローガンのもと,2004年に改正され,名称が消費者基本法へと変更されました。■ 消費者基本法▲第5条(事業者の責務等)第2項は,以下のように規定しています。■ 事業者は,その供給する商品及び役務に関し環境の保全に配慮するとともに,当該商品及び役務について品質等を向上させ, その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。 ■ここで規定されている「事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成する」ということが,コンプライアンスの出発点であり,これを作成する過程で,コンプライアンスへの共通理解が深まり,経営トップが責任をもってこの行動基準を公表し,実践することによって,消費者の信頼を得ることができるようになるのです。 事業者の消費者に対する責務の具体的な内容については,消費者契約法(2000年)が,その第3条で,以下のような規定をおいています。■ 消費者契約法▲第3条(事業者及び消費者の努力)■ 第1項■事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務,その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、 消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務,その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。 ■この規定は,事業者の努力目標に過ぎないと一般に解されていますが,のちに述べるように,実は,消費者契約法における不適正な販売法による消費者契約の取消権,不適正な契約条項の無効主張権,それらに対する適格消費者団体による差止請求権の起点を示すものであり,非常に重要な規定なのです。■