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46/64 民法における差止請求の根拠(1/2)相隣関係における所有権に基づく差止請求権

【テロップ】
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【ノート】
わが国の民法は,第1に,所有権侵害のように,絶対権侵害のおそれがある場合に,個人による差止請求を明文で認めています。 例えば,民法216条は,損害が及ぶおそれがある場合には,それを未然に防止するために,工作物の修繕,予防工事を請求することを認めています。 ■損害が発生してからではなく,損害が発生するおそれがある段階で,損害を未然に予防するのに適切な措置を請求できるという意味で,差止請求と同じです。■ 民法▲216条(水流に関する工作物の修繕等) ■他の土地に貯水,排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により,自己の土地に損害が及び,又は及ぶおそれがある場合には,その土地の所有者は,当該他の土地の所有者に,工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ,又は必要があるときは予防工事をさせることができる。 わが国の民法が,所有権に基づく妨害予防請求権を規定しているのは,民法▲234条(境界線付近の建築の制限)です。■ 民法▲234条▲第1項■建物を築造するには,境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。■ 民法▲234条▲第2項■前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは,隣地の所有者は,その建築を中止させ,又は変更させることができる。ただし,建築に着手した時から1年を経過し,又はその建物が完成した後は,損害賠償の請求のみをすることができる。 ■わが国の通説は,わが国の民法には,物権的請求権を明文で定めた規定は存在しないとしてきました。 ■しかし,民法234条が,隣地の所有者に境界付近の「建築を中止」させるという請求権を認めているのですから,これが,所有権に基づく物権的請求権,しかも,差止請求権を認めた規定であることは,明らかです。