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47/64 民法における差止請求の根拠(2/2)占有訴権,不法行為(不作為債務)の強制執行

【テロップ】
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【ノート】
わが国の民法は,第2に,物権だけでなく,債権侵害についても,差止請求を認めています。例えば,所有者から土地と建物を預かり,管理しているとしましょう。 ■そして,隣地の所有者が設定した工作物が老朽化して傾き,そのまま放置しているならば,ジュキ者が預かっている土地と建物を直撃するおそれがあるとしましょう。 ■その場合には,その建物のジュキ者は,民法199条によって,工作物の所有者に対して,妨害の予防(差止)を請求することができます。 民法▲199条(占有保全の訴え)を見てみましょう。■ 民法▲199条■占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは,占有保全の訴えにより,その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。 ■ここで大切なことは,ジュキ者は,債権者であって,物権者ではないけれども,民法199条の占有訴権によって,差止請求をすることができるという点です。■ さらに理論を発展させると,民法709条は, 明文上は,損害賠償請求権についてしか規定していませんが, ■その前提として,すべての人に対して,故意又は過失によって他人に損害を生じさせてはならないという不作為義務を課していると解釈することができます。 ■民法709条をそのように解釈すると,その不作為義務を強制することは,債権の総則である民法414条3項によって実現することができることになります。 民法▲414条(履行の強制)は,以下のように規定しています。 民法▲414条▲第3項■不作為を目的とする債務については,債務者の費用で,債務者がした行為の結果を除去し,又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。■ また,民法▲414条▲第4項が,ゼン3項の規定は,損害賠償の請求を妨げない,と規定していることは,民法709条とも整合的です。 ■すなわち,民法414条▲3項と民法709条を組み合わせるならば,先に述べたように,回復が困難な損害が生じるおそれがある場合には,損害を蒙るおそれがあるヒトは誰でも,裁判所に差止請求を求めることができることになります。