TracficAccident&PLver2
62/64 相殺の担保的機能(最優先弁済権)

【テロップ】
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【ノート】
ソウサイの担保的機能を極限まで推し進めた「無制限説」といわれている現在の判例によって,民法511条の意味を再確認することにしましょう。 債権者である銀行Yは,債務者であるA社に貸金債権を有しており,A社は,銀行Yに預金債権を有していました。 ■それぞれの債権は,弁済期が到来しておらず,貸金債権の弁済期は,預金債権の弁済期よりも後に生じることになっていました。 いずれの債権の弁済期も到来しない間に,A社が税金を滞納したため,租税債権を有する国Xが,A社のB銀行に対する預金債権を差し押さえました。 その後に,銀行YがA社への貸金債権を自働債権とし,A社のB銀行に対する預金債権をジュドウ債権として,ソウサイをしました。 ■この場合,時期を順にあげると, ■第1に,国Xによる預金債権の差押え, ■第2に,預金債権の弁済期の到来予定 ■第3に,貸金債権の弁済期の到来予定 ■最後にソウサイの意思表示です。■ 最高裁昭和45年6月24日大法廷判決▲民事判例集24巻6号587頁は,この場合においても,■ ソウサイの制度は,ジュドウ債権につき,あたかも担保権を有するにも似た地位が与えられるという機能を営むものであると述べて, ■銀行のソウサイの効力が,国の差押えに優先するとしています。