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10/68 日本民法697条の制定に際して参照されたドイツ民法典677条(事務管理)→民法697条

【テロップ】
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【ノート】
民法697条は,世界的にみてどのような位置づけがなされるのでしょうか?■  民法697条は,ドイツ民法677条を参考にして起草されたものと考えられています。そこで,ドイツ民法677条を参照してみましょう。  ドイツ民法677条(事務管理)■ 委任を受けることなく,その他,事務を管理する権利を与えられることなしに他人のために事務を処理する者は,本人の真の意思又は推知すべき意思に鑑みて,本人の利益に適する方法により,その管理をする義務を負う。 わが国の民法とドイツ民法とを比較すると,ドイツ民法は,本人の意思を参照しつつも,本人の利益に適する方法によって事務を管理すべきであるとしているのに対して, わが国の民法は,本人の意思の尊重を第一義とし,本人の意思がどうしてもわからないときに限って,第二義的に,本人の利益に適合する方法をとることを義務づけています。  私たちは,本人の意思よりも,本人の利益を慮って,本人の利益になるように行動しがちです。しかし,たとえ,認知症の人であっても,本人の意思を確かめることを諦めてはいけません。適切な質問をし,質問に答え(説明義務),本人の表情をよく観察して,本人の意思を確認することが大切です。  本人の意思が確認できたら,その意思を尊重し,実現できるように援助をするのが,民法697条の趣旨であり,それこそが“Do for others”の意味だと,私は考えています。