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13/68 法学部で何を学ぶのか(2/2)法律家と医師との共通点

【テロップ】
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【ノート】
他の学部の学生とは異なり,法学部の卒業生の「売り」とは何でしょうか?■  法律家の育成の到達目標について,司法改革審議会の「意見書」は,法科大学院の教育理念について,以下のように述べています。 「国民の社会生活上の医師」としての役割を期待される専門的資質・能力の習得と,かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養,向上を図る。 事実に即して具体的な法的問題を解決していくため必要な法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。  ここで述べられている法律専門家の人物像は,「具体的な紛争が生じた場合に,その紛争を解決するのに適切な法律の条文が何かを探索でき,その紛争に適切な条文を適用した場合に,どのような結論が導かれるのか,どちらの当事者にブがあるのかを的確に判断できる能力を有する人」です。  このような能力は,総合診療医が,具体的な患者の症状を見て,その病名を的確に判断する能力に似ています。  病名がわかった後に,病状と対処法を述べるのは,困難なことではありません。しかし,症状から病名を判断するには,熟練を要するのです。 写真にあるテレビ番組では,患者の病状から,病名を解明し,診療方法を確定するまでのプロセスを見せています。 専門家の卵である研修医の最初の見立ては,全て外れです。 総合診療医のアドバイスを受けながら,可能性のある病名を全てチェックし,除外すべきものを除外して,正解にたどり着くことができるのです。  医学とは異なりますが,法律の場合も同じことが言えます。  条文について,その意味を述べたり,どのような事例がそれに当てはまるかを述べることは,困難ではありません。  しかし,反対に,具体的な事例にどの法律のどの条文が適用されるのかを判断するには熟練を要するのです。  したがって,法学部の学生も,学習目標は,その点,すなわち,「逆向きの推論」ができる能力の育成に集中すべきです。  学修計画を立て,地道な学習を重ねることによって,就職活動において,自分の▲「売り」▲を以下のように言えるようになりましょう。■  「具体的な問題が生じた場合に,その問題にどの法律のどの条文が適用されるのか,その結果,どのような判決が出るか,その結論が覆るのはどのような場合かを予測する能力を有します」  このような能力を有していることこそが,他の学部の卒業生にはできない,「法学部の卒業生の▲売り」なのです。