IntroCivilLawSys
22/68 議論の方法三段論法からトゥールミン図式へ→民法612条

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
アイラック(IRAC)のうち,議論はどのようにして行われるのでしょうか?■  これまで,判決は,三段論法に従って結論を下しているといわれてきました。 三段論法といえば,「すべての人は死ぬ」というような大前提があり,その大前提を「ソクラテスは人間である」という小前提にあてはめ,「ソクラテスは死ぬ」と言う結論を下すというものです。  判決においても,例えば,「過失があれば責任を負う」という大前提(法律の条文)があり,その大前提を「被告には過失があった」という小前提(事実認定)にあてはめて,「被告は責任を負う」という結論(判決)を下していると考えられてきたのです。  しかし,三段論法は,例外を許しません。法律の条文は,そのほとんどが,例外としての,但し書きを含んでいます。 このような法律の条文に対して,論理学の論理を使えるように,しかも,それを視覚的に明らかにしたのが,トゥールミンの議論の図式です。  「すべての人間は死ぬ」という命題には,例外がないようなので,トゥールミンの図式のすばらしさが明確とならないのですが,ソクラテスの意味を人そのものではなく,ソクラテスが発見した真理と考えて,あえて例外を作り出してみました。  そのような例外がある場合には,三段論法は使えないのですが,トゥールミン図式では,そのような場合にも,以下のように論理的な議論が可能となります。ここで重要なことは,例外を含む命題は三段論法では扱うことができないが,トゥールミンの図式では,それを扱うことができるという点にあります。 (Data)■ソクラテスは人間である。 (Claim: 主張)■ソクラテスは死ぬ。 (Warrant: 論拠)■すべての人間は死ぬ。 (Rebuttal: 反論)■ここでいうソクラテスは,生身の人間ではなく,哲学の父としてのソクラテスであり,真理の探究に対する真摯な姿は,永遠である。 (Backing: 裏づけ)■万物は流転する。しかしその真理は流転せず行き続ける。