Law_SetTheory
32/58 Logic and set theory (4/5)What is ( ¬ A ⇒ ¬ B )?

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
法律学の「A ならば B」は,ときとして,むしろ,しばしば,「Aならば,かつ,そのときに限り B」を意味することがあります。このような場合には,「ノットA ならば ノットB」が成り立ちます。これを「反対解釈」と言います。■ 注意をしなければならないのは,「要件 ならば 効果」という式は,必ずしも,「要件 ならば,かつ,そのときに限り 効果」というわけではありません。 したがって,反対解釈をする場合には,よほど慎重でなければなりません。法律家が解釈論で誤りに陥るのは,そのほとんどが,「誤った反対解釈」をすることに起因しています。 例えば,因果関係を判断するものとして,「あれなければ,これなし」というルールがあります。これは,「ノット原因 ならば ノット結果」(あれなければ,これなし)によって,「原因 ならば 結果」(あれあれば,これあり)を導こうとするものです。 具体的にいえば,「Aという薬品の販売・使用を禁止した ならば 以後,Bという病気が発症しない」ということから,「Aという薬品の使用が,Bという病気の原因である」という反対解釈が行われています。しかし,このようなことが成り立つのは,原因がAだけの場合限定されのであって,そのほかに,原因が存在する場合には,誤りが生じます。 つまり,反対解釈が有効である場合は,次のような同値の場合に限定されます。  「婚姻関係を継続しがたい重大な事由がある ならば 裁判上の離婚事由となる」は,  「婚姻関係を継続しがたい重大な事由がない ならば 裁判上の離婚はできない。」と同じです。 しかし,同値でない次の場合には注意が必要です。 「不貞行為がある ⇒ 裁判上の離婚原因がある」というルールの場合, 「不貞行為がない ⇒ 裁判上の離婚原因はない」といえるでしょうか?