WhatIsLaw2015
25/31 例文解釈(民法612条)の説明図
【テロップ】
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【ノート】
例文解釈の意味を理解するために,復習をかねて,民法612条の例文解釈を集合論で説明してみましょう。■ 民法612条の条文の裏にある,根本原理とは,賃貸借契約を解除できるのは,「信頼関係が破壊されたとき」であり,そのときに限って,賃貸借契約を解除できるという原理です。■ これに該当する事実があれば, これが,本当の解除原因ですので,賃貸人は,賃貸借契約を解除することができます。■ これ以外は,補集合であって,解除ができない領域です。■ 例えば,この真の解除原因の外にある点を取って考えてみましょう。■ その点が,民法612条の要件に該当しているとしましょう。■ 民法612条の要件に該当しているので,通常は,それが,信頼関係を破壊していると推定されます。■ もしも,民法612条の要件とともに,信頼関係破壊の法理を満たす点であれば, もちろん,賃貸人は契約の解除ができます。■ ■しかし,今,問題としている点は,民法612条の要件を満たしてはいますが,信頼関係を破壊していない点なので, ■もしも,賃借人が,「背信行為に当たらない特別の事情」があるとの証明に成功した場合には,原則に戻って,資格 賃貸人は契約の解除ができないのです。■ 最高裁昭和28年判決は,このことを,以下のように簡潔に表現しています。すなわち, ■「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益をなさしめた場合においても,賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは,本条に基づく解除権は発生しない。」■ ■もしも,皆さんの中に,以上のことが理解できる人がいたら,その人は,法学部の3年生程度の学力があることになります。それは,すごいことなのです。 ■大学生でも,民法612条と最高裁の判例との関係を理解するのは,至難のワザだからです。