1 斎藤精一郎『ゼミナール現代金融入門』〔第3版〕日本経済新聞社(1995)49頁以下参照。

  2 香西泰他監修『日本経済事典』日本経済新聞社(1996)301頁によれば、スワップとは、将来のある時点における債権・債務またはキャッシュ・フローを予め取り決めた方式により契約当事者間で交換する契約であり、米ドルと円との通貨スワップ、固定金利と変動金利の金利スワップ等があるとされている。

  3 香西泰他監修『日本経済事典』(注2)499頁によれば、オプション取引とは、特定の期日または期間に特定の資産をあらかじめ定められた価格で売買する権利をオプション・プレミアムで売り買いする取引であるとされている。

  4 梅謙次郎『民法要義』〔巻之三〕有斐閣(1887)481頁、吉田豊「手付」『民法講座第5巻契約』有斐閣(1985)160頁以下、横山美夏「民法775条(手付)」広中俊雄・星野英一編『民法典の百年V』有斐閣(1998)309頁以下参照。

  5 さらにわかりやすい具体的例としては、我妻栄『民法案内6-1(債権各論上)』一粒社(1984)143頁参照。

  6 フランス民法1590条 売買の予約が手付金(arrhes)をもってなされたときは、手付を交付した者はそれを失うことによって、手付を受け取った者はその倍額を返還することによって、各当事者は自由にこれを解除することができる。

  7 広中俊雄編著『民法修正案(前三編)の理由書』有斐閣(1987)539頁、梅謙次郎『民法要義』(注4)480頁以下参照。

  8 斎藤精一郎『ゼミナール現代金融入門』(注1)74頁。

  9 吉田豊「近代民事責任の原理と解約手付制度との矛盾をめぐって」法学新報72巻1・2・3号(1965)102頁、吉田豊「手付」 (注4)178頁以下参照。

  10 我妻栄『債権各論中巻一』岩波書店(1957)260頁、広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1979)52頁、吉田豊「手付」 (注4)155頁。

  11 樋口範雄『アメリカ契約法』弘文堂(1994)110頁。

  12 樋口範雄『アメリカ契約法』(注11)119 頁。

  13 柚木馨・生熊長幸「売買の予約」柚木馨・高木多喜男『新版注釈民法(14)債権(5)贈与・売買・交換』有斐閣(1993)154頁。

  14 大判大8・6・10民録25輯1007頁。

  15 浜上則雄「『契約形成権授与契約』について」ジュリスト389号(1968)84頁。

  16 三宅正男『契約法(各論)上巻』青林書院新社(1983)145頁は、「売買一方の予約とは、買受権を生ずる通例の場合でいえば、買う買わないは自由であり、後日買受けの意思表示により売買が成立する契約を言い、完結の意思表示は文字通りに解すべき実質を有する。完結の意思表示が既に締結された売買の停止条件だというのは、表現の矛盾であるに止まらず、実質に適合しない」とする。

  17 例えば、横山美夏「不動産売買契約の『成立』と所有権の移転(2・完)」早稲田法学65巻3号(1990)302頁以下は、片務予約を「独自の契約としての片務予約」であり、「片務予約をオプション契約として再構成することは、わが国における片務予約の発展を促すことになる」とする。フランス法に示唆を得て、予約とオプション契約とを結び付ける試みは評価されるべきであるが、予約を本契約とは別の「独自の契約」としている点に限界がある。

  18 小川幸士「予約の機能としては、どのような場合が考えられ、何を問題とすべきか」『講座・現代契約と現代債権の展望(5)契約の一般的課題』(1990)84頁は、ホテルの予約は、「説明するまでもなく『本契約』である」と断定している。また、内田貴『民法U債権各論』東京大学出版会(1997)も、「日常、『予約』と呼ばれている現象のうち、ホテルの予約、劇場や飛行機等の座席の予約、出版物の予約などは、いずれもここでいう予約ではなく本契約である。たとえば、ホテルの予約は、宿泊契約という無名契約(または混合契約)そのものであり、その予約ではない」と言明している。これに対して、須永醇「ホテル・旅館宿泊契約」『契約法大系VI』有斐閣(1963)195頁は、ホテルの予約は、文字どおりの予約であるとし、この予約を客は自由に破棄できるが、ホテルは客の予約完結権に応じなければならない予約だから、当事者の一方の予約であるとしている。

 筆者は、ホテルの予約は、文字通り、予約(顧客がフロントに到着するまでは、宿泊契約を締結するかしないかは顧客の自由であるという状態)だと考えており、その方が、消費者保護にも資すると考えている。事業者の立場からは、「説明するまでもなく」本契約だといいたいところであろうが、学問的な観点からは、「説明するまでもなく」本契約だとか、「日常用語」と法律用語は異なるのであって、ホテルの予約は予約ではなく、本契約だという安易な決め付けはすべきではないと思われる。

  19 中島玉吉「予約論」京都法学会雑誌3巻5号(1908)29頁は、この点を捉えて、予約を『拘束力アル申込ト性質ヲ同フス』るものと解している。もっとも、同24頁は、「一方ノ予約ハ其ノ効力作用ニ於テ契約ノ申込ニ類似ス 只一ハ一方行為ナレトモ他ハ契約ナリ是レ其ノ異ル所ナリ」としている。中島説を支持する三宅正男『契約法(各論)上巻』(注16)も、「申込は一方の意思表示に過ぎないが、一方の予約は既に一つの合意である。しかし、その合意は、予約義務者が売買の申込を一定期間維持するという、売買の申込とは別個の合意なのである。」としている点は、問題である。確かに、予約義務者は、予約の申込者に対して、予約完結権を与えることを承諾しているのであって、本契約の申込自体をしているのではない。しかし、予約の申込者は、本契約の申込を受けるというステップを経ずに、予約完結権という本契約の承諾権限を取得するのであって、予約を本契約とは別個の合意と捉えるべきではない。

  20 藤田寿夫「契約締結と予約」法律時報67巻10号(1995)66頁は、「オプション権を創設するオプション契約として、『申込契約』がある。この申込契約によってオプション権者は拘束的申込の受領者と同じ状態に置かれる」としている。

  21 加賀山茂「『予約』と『申込の誘引』との関係について」法律時報68巻10号(1996)76頁以下。

  22 来栖三郎『契約法』有斐閣(1974)28頁も、「売買における手附には、売買の予約の手附と売買の手附とがある」として、予約手付の存在を認めている。

  23 厳密には、契約締結の際には内金となるべき手付を相手方に償還し、さらに自ら解除権を取得するために同額を交付し、それを相手方が没収すると構成すべきであろう。

  24 ただし、横山美夏「民法557条(手付)」(注4)310-312頁は、旧民法においては、フランス民法1590条(注6)が参照されたことは明らかであるが、わが国慣習が考慮されたかどうかについては疑問があるとしている。

  25 広中俊雄編著『民法修正案(前三編)の理由書』 (注7)539頁。

  26 来栖三郎『契約法』 (注22)28頁、横山美夏「民法557条(手付)」(注4)336頁。

  27 浜上則雄「『契約形成権授与契約』について」 (注15)81頁以下。

  28 我妻栄『債権各論中巻一』 (注10)260頁、石田穣『契約法』青林書院新社(1982)126頁、三宅正男『契約法(各論)上巻』 (注16)172頁、松坂佐一『民法提要債権各論』〔第5版〕有斐閣(1993)87頁。

  29 平野裕之『契約法(債権法講義案U)』信山社(1996)211頁。

  30 最三判平6・3・22民集48巻3号859頁(売主が手付けの倍額を償還して売買契約を解除するためには、買主に対して右額の現実の提供をすることを要する)。

  31 鈴木禄弥『債権法講義〔三訂版〕』(1995)131頁によれば、「証約手附自体は、… 単に契約の成立を推認させる間接事実に過ぎない」。

  32 星野英一『民法概論W(契約)』良書普及会(1981)119頁。

  33 我妻栄『債権各論中巻一』 (注10)260頁、三宅正男『契約法(各論)上巻』 (注16)172頁。

  34 建設業法21条、割賦販売法16条、同法18条の3参照。

  35 もっとも、吉田豊「手付」 (注4)162頁は、民法の起草者は、「解約手付が解約機能と賠償機能の双方を兼ねているものであることを明確に意識していた」と解している。

  36 石田喜久夫『消費者民法のすすめ』法律文化社(1998)111頁は、解約手付について、「手付による解除は、債務不履行による解除など法律の規定によって生じる解除(法定解除)ではなく、損害賠償などはまったく問題とならず、原状回復義務が双方に生じるにとどまる」としている。

  37 最三判昭24・10・4民集3巻10号437頁。

  38 最一判昭29・1・21民集8巻1号64頁(売買における手付けは、反対の証拠がない限り、本条(民法557条)所定のいわゆる解約手付けと認めるべきである)、最三判昭24・10・4民集3巻10号437頁(契約書に、違約の場合、手付けの没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは本条の適用を排除する意思表示があったものということはできない)。

  39 フランスにおいては、宅地建物取引に限定することなく、消費者と事業者との関係においては、消費者が交付した前金は、特約がある場合を除いて、すべて解約手付と推定されている(L. 18 janv. 1992, a. 3-1, al. 4: Ph. Malaurie, L. Ayn?s, Droit civil, les obligations, no 966, p. 544 (1993))。そして、事業者の方から解約する場合には、事業者は手付金の2倍額を返還しなければならないと規定されている(L. 18 janv. 1992 a.3-1, al. 4: Malaurie et Ayn?s, Droit civil, les obligations, no 968, p. 546 (1993))。わが国おいては、民法557条が想定した通り、手付とは、一般に、解約手付であるとの慣習があると考えるべきであろう。

  40 山中康雄『契約総論』弘文堂(1949)166頁、広中俊雄『債権各論講義』 (注10)53頁、石田穣『契約法』 (注28)128頁、吉田豊「手付」 (注4)155頁、鈴木禄弥『債権法講義』(注31)226頁、良永和隆『民法判例百選U〔第4版〕』(1996)111頁など。

  41 解約手付制度を積極的に評価するものとして、水本浩『契約法』(1995)139頁、後藤巻則『民法判例百選U〔第4版〕』(1996)108頁、内田貴『民法U債権各論』 (注18)115頁、横山美夏「民法557条(手付)」(注4)335頁参照。

  42 最三判平9・2・25判時1599号66頁(不動産売買契約において義務不履行の場合の手付金の不返還又は倍額支払の定めと共に特別の損害を被った当事者は損害賠償請求ができる旨を定めた約定があるとしても、債務不履行により手付けの額を超える損害を被った債権者は、通常生ずべき損害であると特別の事情によって生じた損害であるとを問わず、右損害全額の賠償を請求することができる旨を定めたものと解するのが相当である)。

  43 廣瀬久和「ユニドロワ(UNIDROIT)国際商事契約原則」『星野英一先生古稀祝賀・日本民法学の形成と課題(下)』有斐閣 (1996)1377頁以下参照。

  44 最三判昭59・9・18判時1137号51頁。

  45 来栖三郎『契約法』 (注22)39頁。

  46 最三判昭30・12・26民集9巻14号2140頁(賃借人の居住する家屋の売買で、売主が賃借人に家屋の明渡をなさしめた上これを買主に引渡す約定のある場合、買主が、しばしば売主に対し、賃借人に家屋の明渡をなさしめてこれが引渡をなすべきことを督促し、その間常に残代金を用意し、明渡があればいつでもその支払をなし得べき状態にあつた上、売主が、買主とともに賃借人方に赴き売買の事情を告げて家屋の明渡を求めた場合には、買主および売主の双方に、民法五五七条にいわゆる「履行ノ著手」があつたものと認めるのが相当である)、最一判昭33・6・5民集12巻9号1359頁(土地の買主が約定の履行期後、売主に対ししばしばその履行を求め、かつ売主において右土地の所有権移転登記手続をすれば、何時でも支払えるよう残代金の準備をしていたときは、民法557条にいわゆる「契約の履行に著手」したものと認めるのが相当である)参照。

  47 大判昭8・7・5裁判例(7)民166頁も、履行の準備にすぎない段階では、履行の着手とはいえないとしている。

  48 最三判平5・3・16民集47巻4号3005頁。

  49 吉田豊「手付」 (注4)161頁は、履行着手による解除制限は、「着手後の解約によって相手方に損害が発生することを防止するために設けられた」としている。

  50 最大判昭40・11・24民集19巻8号2019頁。

  51 最大判昭40・11・24民集19巻8号2019頁。

  52 最三判昭30・12・26民集9巻14号2140頁、最一判昭33・6・5民集12巻9号1359頁。