VideoLastLecture2017
19/26 Ⅳa 保証の本質(債務なき責任)
【テロップ】
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【ノート】
以上のように,債務者による債務の弁済と,保証人による債務の弁済との違いを理解すると,通説とは異なり,保証の本質をしっかりと理解することができるようになります。■ そこで,通説の盲点である,保証の本質を理解することにしましょう。■ ★保証の冒頭条文である民法446条は,以下のように規定しています。■ ★民法446条▲第1項■保証人は,主たる債務者がその債務を履行しないときに,その履行をする責任を負う。■ ★保証の場合も,冒頭条文である民法446条をじっくりと読み,その意味を厳格に理解することが必要です。 ■保証契約には,三人の登場人物と二つの契約が重要な地位を占めています。それを図で示すことにしましょう。■ ★登場人物の一人は,債権者です。■ ★もう一人は,債務者です。■ ★債権者と債務者との関係が債権・債務関係であり,債権者の立場から見れば,債権であり,債務者の立場から見れば,債務であり,保証を伴う場合には,主たる債務といわれます。■ ★最後に登場するのが,保証人です。■ ★保証契約が締結される前に,通常は,債務者と保証人との間で,保証委託契約が締結されます。■ ★保証は,理論上は,保証契約は,債権者と保証人との間で締結されることになっています。 ■しかし,通常は,保証契約より前に,保証委託契約が先に締結されるのであり,保証委託契約の内容は,保証契約と同じなので,債権者と保証人との間で締結される保証契約というのは,保証委託契約の追認にすぎないのが実情です。■ ★ところが,通説は,保証債務は,主たる債務と別個独立の債務であるが,主たる債務に付従する,としています。 ■保証債務は,主たる債務とは別個独立の債務だが,主たる債務に従属するとしているのですから,矛盾の極致です。 ■このような矛盾が,通説として今なお,どの教科書にも掲載されているのですから,民法学は,腐敗しているといわざるをえません。 ■そのような矛盾した通説からは,しばし距離を置き,民法の条文をしっかり読むことにしましょう。■ ★保証の冒頭条文である民法446条▲第1項については,条文に即して,厳密な解釈をすることが必要です。■ ★第1に,民法446条▲第1項の,「保証人は,主たる債務者がその債務を履行しないときに」という文章のうちの,「その債務」とは,主たる債務であることに注意する必要があります。■ ★第2に,同様にして,「保証人は,…,その履行をする責任を負う」という文章のうち,「その履行をする」とは,「主たる債務の履行」のことです。■ ★第3に,保証人が負担するのは,「その履行をする責任」,つまり,主たる債務を債務者に代わって履行する責任であって,本来の債務を負担するわけではありません。 ■一つだけ存在する主たる債務を債務者に代わって履行する責任を負うからこそ,保証人が主たる債務を弁済すると,債務者に求償する権利が与えられるのです。■