VideoLastLecture2017
21/26 相互保証理論は,一人についての取消・無効をいかに説明するのか?

【テロップ】
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【ノート】
★通説が,連帯債務の別個独立性の根拠としている民法433条は,民法理由書によれば,実は,連帯債務の従属性,すなわち,負担部分に対する連帯保証部分の付従性を示す一例であるにすぎません。 ■そのことを,わかりやすく図解することにしましょう。■ ★Y3 ▲に取り消し原因(制限行為能力者の法律行為,詐欺又は強迫による法律行為)があり,Y3 ▲が,連帯債務契約を取り消して,債務が無効となったとします。■ ■この場合,連帯債務自体は無効とならないというのが,民法433条の意味ですが, ■連帯債務者の一人に生じた取消し又は無効は,他の連帯債務者に全く影響を及ぼさないのでしょうか? ■一度に答えを出そうとすると誤りに陥ります。こういう場合には,一つ一つについて,分析的にものごとを考えるようにしましょう。 ★第1に,無効となったY3 ▲の連帯債務のうち,本来の債務,すなわち,負担部分が無効となった影響について考えてみましょう。■ ■これからが,連帯債務者の一人に生じた事由が他の連帯債務者にどのような影響を及ぼすかの問題です。 ★Y3 ▲の負担部分が無効となると,Y2 ▲がY3 ▲のために連帯保証していた100万円の部分が保証の付従性によって消滅します。■ ★その結果として,Y2 ▲の連帯債務は,600万円から500万円に減額されます。 ★Y3 ▲の負担部分を連帯保証していた連帯保証部分が付従性によって消滅したからです。 ★同様にして,Y1 ▲がY3 ▲のために連帯保証していた100万円の保証部分が保証の付従性によって消滅します。■ ★その結果,Y1 ▲の連帯債務も,600万円から500万円に減額されます。 ■第2に,取消しによって,初めに遡って無効となったY3 ▲の負担部分以外の部分,すなわち,保証部分が消滅した影響について考えてみましょう。 ★保証部分が消滅しても,保証の消滅は,本来の債務に影響をおよぼさないため,他の連帯債務者には,なんらの影響も及ぼしません。 ■以上の分析によって,連帯債務者の一人に取消し又は無効原因が生じた場合に,他の連帯債務者に対してどのような影響が及ぶかという問題が解明されました。■