VideoLastLecture2017
24/26 担保物権の条文上の実態

【テロップ】
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【ノート】
わが国の現行民法は,物的担保を物権編に編入しています。■ しかし,条文の内容のほとんどは,ボワソナードが起草した旧民法の債権担保編の条文を修正したものに過ぎないため,条文をよく読むと,物権ではなく,債権の効力である掴取力が優先弁済権として強化されたものに過ぎないことがわかります。■ ★第1に,留置権は,物権としての性質である使用・収益・処分の権能を一つも有しておらず,どの点を取っても,物権ではありません。留置権は,占有によって公示されているために,第三者にも対抗できる履行拒絶の抗弁権に過ぎません。■ ★第2に,先取特権は,債権の掴取力が強化された優先弁済権そのものであり,特に,一般先取特権は,物権的な性質としての目的物の特定性がなく,対抗要件も必要としておらず,どの点を取っても,物権とはいえません。■ ★第3に,質権も,その定義は,合意と占有の対抗力を利用して留置効がプラスされただけの,債権の優先弁済権に過ぎず,占有を失うと,対抗力を失う点で,物権とはいえません。■ ★第4に,抵当権も,その定義は,合意と登記によって第三者に対する対抗力・目的物に対する追及効をプラスされた債権の優先弁済権であり,物権とはいえません。■ このように,担保物権といわれている権利の定義は,すべて,債権の事実上の優先弁済権か,法律上の優先弁済権とされており,■ 共通の定義項目が「自己の債権の弁済を受ける権利」であるにもかかわらず,それを物権と考えること自体が,物権の定義に反し,通説は,論理的に破綻しています。■ これほど明確な定義規定に反して,「優先弁済権」を物権だと教えているから,ほとんどすべての学生が担保物権が何かを理解できず,根深い苦手意識を有しているのです。■ この点から考えても,現在の民法教育は,完全に失敗しており,早急に,大改革を実行することが必要です。■