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8/26 Ⅱa 対抗不能の一般理論
【テロップ】
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【ノート】
民法613条1項ニブンには,「賃料の前払いをもって賃貸人に対抗できない」という文言が含まれています。ここでいう「対抗できない」というのは,どういう意味なのかを検討します。■ ★対抗不能といえば,その代表例は,なんといっても,不動産二重譲渡の対抗問題でしょう。■ ★ここでは,所有者であり,登記を有している売主が出発点になります。■ ★第一買主が現れます。■ ★売主と第一買主との間で,不動産の売買契約が締結されます。■ ★売買契約の締結の結果として,民法176条に基づいて, ★所有権が,売主から第一買主へと移転します。■ ★第一買主が登記を取得していない間に,第二買主が現れて, 第一買主よりも,多額の金額で同一不動産を買いたいと申し出たとします。■ ★売主が,第一買主への損害賠償をしても,第二買主と契約した方が儲けが大きいと計算して,第二買主とも同一不動産について,売買契約を締結したとします。■ 物権は既に第一買主に移転していますが,他人物売買でも,売買契約は有効に成立します。■ ★そして,第二買主が,第一買主よりも先に登記を取得したとします。■ ★そうすると,民法177条によって,第一買主は,第二買主に対抗できなくなります。■ ★その意味は,権利保護資格要件である登記を先に取得した第二買主は,第一売買を攻撃し,その所有権の移転の効果だけを否認することができるというものです。■ ★そうすると,物権は,売主に復帰します。■ その結果,追認の規定が類推適用され,他人物売買がはじめに遡って効力を生じるため, ★第二買主が物権を取得することになるのです。■ この考え方を,不動産物件の二重譲渡の対抗問題に関する否認説と呼んでいます。 ★この否認説については,批判がなされています。 ■否認説に対する批判は,主として,対抗することができないという問題を,「否認」という概念で説明する点に集中しています。■ ★特に,星野英一教授は,民法には,否認という用語はなじまないとされています。■ しかし,30年前から,コンピュータを駆使して,民法の条文をデータ入力して研究をしていた私にとっては,そのような批判に対しては,簡単に反論することが可能でした。なぜなら,民法の条文をコンピュータで検索すれば,対抗することができないという用語と,「否認」という用語が,同一の条文に,同じ意味を持つものとして,出現していることを発見することができたからです。■