[Top]へ [自己紹介の目次]へ
|
MBL入門(ビデオ教材) |
加賀山茂の担当科目の紹介
「法と経営学」研究科の公式HPは,
http://www.meijigakuin.ac.jp/~mbl/へ
創設:2015年4月1日
明治学院大学大学院「法と経営学研究科」委員長 加賀山 茂
- 法学は人類の正義を,経営学は組織の正義を,経済学は地球規模の正義を目指す。
- これら3つの正義を統合するのが,「法と経営学」の目標である。
- 参考文献
- イェーリング(小林孝輔=広沢民生訳)『権利のための闘争(原著1872年)日本評論社(1978/11/20)
- ロバート・クーター= トーマス・ユーレン,太田 勝造(訳)『法と経済学』〔新版〕商事法務研究会(1997/10)
- カイム・ペレルマン,江口 三角 (訳) 『法律家の論理―新しいレトリック』木鐸社(2004/10)
- P.F.ドラッカー(上田惇生訳)『非営利組織の経営』ダイヤモンド社(2007)
- ジャック・アタリ(林昌宏訳)『21世紀の歴史−未来の人類から見た世界』作品社(2008/08)
- 加賀山茂「故意又は過失,因果関係における定量分析の必要性 −過失に関する『ハンドの定式』の誤解の克服,および,因果関係におけるベイズの定理の応用を中心に−」明治学院大学法科大学院ローレビュー第15号(2011年12月)17-58頁 (PDF)
- アル・ゴア『未来を語る−世界を動かす6つの要因』KADOKAWA(2014/10/26)
- 経営学の研究分野(1.組織自体,2.資本市場,3.労働市場,4.原材料市場,5.財市場,6.政府関係)に法学の研究分野をマッピングすることによって,経営学と法学との融合 を図る。
- 研究・教育の方法としては,それぞれの分野ごとに問題となるケースを設定し,それを経営学と法学との両面から問題解決の方法を追求する。そのことを通じて,それぞれの学問に欠けていた点を発見し,補完する。
- 以上の作業を通じて,6分野のそれぞれについて,問題解決の方法として経営学と法学との両面から思考できる人材(学生および教員)を育成する。
|
|
経営学の研究領域 |
法学の研究領域 |
- 参考文献
- 伊丹敬之=加護野忠男『ゼミナール経営学入門』〔第3版〕日本経済新聞社(1989,2003)
- 加賀山茂「『法と経営学』研究序説」明治学院大学法科大学院ローレビュー19号(2013年12月)1−11頁(PDF)
- 法と経営学研究科の教育目標
- 広い視野を持って,社会の組織(企業やNPO,研究機関も含まれる)で指導的役割を果たせる人材,特に,経営学と法学とを身につけ,ビジネスをトータルに推進できる人材を,従来の学部の枠に囚われずに育成することを目標とし,企業経営者,中小企業の事業承継者,それを支える専門家(税理士など)及び大学院で習得した専門知識や分析力を活かせる企業内スペシャリストの輩出を目指す。
- 法と経営学専攻の教育目的
- 法的知識を身につけ,法律家を活用できる経営者または組織のリーダー(法学を身につけた経営者・エコノミスト)や経済・経営学の知識を身につけ,経営者に対してスペシャリストとして的確な提案ができる問題解決者(経済・経営のセンスを身につけた法務責任者・法律家)の養成。
- 入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)
- 本研究科は,「広い視野を持って,社会の組織(企業やNPO,研究機関も含まれる)で指導的役割を果たせる人材」,特に,「経営学と法学とを身につけ,リスクマネジメントを実践できる人材」を,従来の学部の枠に囚われずに育成することを目標とし,企業経営者,中小企業の事業承継者,それを支える専門家(税理士など),及び大学院で習得した専門知識や分析力を活かせる企業内スペシャリストの輩出を目指す。
- これらの業種に必要である社会情勢の把握力,柔軟な発想力,コミュニケーション能力,倫理観などを有する者を選抜するための入試方法をとる。
- 参考文献
- 鈴木克明『教材設計マニュアル−独学を支援するために』北大路書房(2002)
- 甲斐莊正晃『女子高生ちえのMBA日記−社長だもん,もっと勉強しなきゃ!!』プレジデント社(2010)
- 芝池宗克=中西洋介(反転授業研究会編)『反転授業が変える教育の未来−生徒の主体性を引き出す授業の取り組み』明石書店(2014/12/15)
- 必要性と長期学修とのジレンマ
- 組織でリーダーシップを発揮するには,経営学のほか,法律学の専門的知識と考え方をマスターする必要がある。
- 経営学と法律学の両方をマスターするには,従来は,それぞれの修士課程2年,合計で4年の年月が必要であった。
- しかし,大学卒業後4年間の学修は,あまりにも長すぎる。就職する時点で,最短でも26歳になってしまう。
- 不況と低成長が続く中,学生の生活を支えてくれる保証人の資力にも限界が生じてしまう。
- 4年の学修期間を2年に短縮することは可能か
- カップ一杯の大粒の豆にカップ一杯の小粒の豆を入れてみよう。カップ二杯ではなく,条件次第で,一杯で収まることがわかる。
- 経営学の学問分野の枠の中に,大局的な考え方としての経営学(大粒の豆)と,具体的な事例の解決策を検討する法律学(小粒の豆)を入れると,経済学の学問分野の中に,両方の学問がきちんと収まる。
- 経営学と法律学との双方を総合的に,かつ,短期間でマスターできる「法と経営学」の方法論(ケース研究)
- 「法と経営学」研究科の主要科目であるビジネス総論では,1つの事例について,経営学の教員と法律学の教員とが1組となり,経営学の観点と法律学の観点から事例を眺め,学生と質疑を重ねながら,問題解決の方法を模索する。
- このようなケース研究を重ねることによって,経営学の教員・学生には,法律学の考え方が加わり,また,法律学の教員・学生には,経営学の考え方が加わり,経営学に法律学の視点を加えたパラダイム転換が生じるとともに,法律学にも,経営学の視点を加えたパラダイム転換が生じることが期待できる。
- 例えば,池井戸潤の経済小説『空飛ぶタイヤ』講談社文庫(2009)を題材にして,経営学の視点と法律学の視点の双方からこの小説のモデルとなった事件を分析すると,以下のような構造が見えてくる。
|
池井戸潤『空飛ぶタイヤ』講談社文庫(2009)を題材にして
ケース研究を行う場合の「法と経営学」の視点に基づく
小説の構造分析の一例 |
- ケース研究を通じたそれぞれの学問分野における発展の可能性
- 「法と経営学」研究科においては,ケース研究を中心として教育方法によって,経営学の分野では,法律学の考え方が加わった経営学が発展し,法律学の分野においては,経営学の考え方が加わった法律学が発展することになる。
- このことを通じて,「法と経営学」そのものが発展するばかりでなく,法学研究科,経営学研究科のそれぞれの研究科の博士後期課程において,さらに高度に発展した特色ある研究指導が実施されることが期待できる。
- フィールド・ワーク(エクスターンシップ,海外研修)による実践
- ケース研究は,それを超えて知識を体系化することにも役立つ優れた方法である。しかし,所詮は,机上の訓練に過ぎない。
|
実地訓練 |
- ケース研究で得た知識を実務で通用する知識へとレベルアップするには,実践に相当するフィールド・ワークが不可欠である。
- 幸いなことに,本研究科に入学する大学院生の中には,実際の経営者(社会人),および,企業(特に中小企業)のトップの子弟が少なくない。そこで,毎年,大学院生と関係する実際の企業を訪問し,そこで生じている経営問題,法的問題を実際に解決するというフィールド・ワークを行う。
- カリキュラム構成上は,第1に,エクスターンシップ(必修科目)において,前半は,実際の企業を訪問して,グループ単位で問題解決策を提言する訓練を行うこととし,後半は,学生が将来就職したいと思う企業を訪問して,見聞を深めることにする。第2に,夏季研修として,海外の企業を訪問し,企業文化の違いを体験することにする。
- 参考文献
- 池井戸潤『空飛ぶタイヤ』講談社文庫(2009)
- DVD『空飛ぶタイヤ』ソニー・ピクチャーズエンタテイメント(2009/10/23)
- 横浜地判平18・4・18判時1937号123頁,判タ1243号164頁(三菱自動車タイヤ脱落事件・製造物責任判決)
- 横浜地判平19・12・13判タ1285号300頁(三菱自動車タイヤ脱落事件・刑事事件判決)
- 神戸地判平21・1・27判タ1302号180頁(三菱自動車・リコール事件・製造物責任判決)
|
ヒトの評価基準 |
- 言うことより,行動こそを評価の基準とする。
- 百聞は一見に如かず。
- 百見は一考に如かず。
- 百考は一行に如かず。
◎「百行は一果に如かず」という人もいるが,結果は時の運に左右されるのであり,ヒトの評価にとって,結果は重要な問題ではない。「百行」としての「習慣化された行動」によって人格が形成されるのであり,ヒトの評価は,その「習慣化された行動」に重点を置いて評価されるべきであろう。
- ヒトの評価基準
- 「分かち合う心」に富んでいるか(10%)
- 見聞や経験を積む努力をしているか(15%)
- 見聞を基にして,自分で考えることができるか(20%)
- 考えたこと,言ったことを,実際に行動に移しているか(25%)
- 行動が習慣化されて,身についているか(30%)
- 行動をよりよい方向に導くためには,褒める。
- 良い行動を見つけて褒める。
- 怒ると,無意識のうちに,反感と萎縮と記憶の忘却が生じ,行動は改善されない。
- 反対に,良い行動を見つけて褒めると,自信と信頼が生じ,その記憶が強化される。
- 褒め続けられると,そのよい方向に行動が変化する。
- 認知的不協和の理論に基づいて,人間は不協和を解消する行動に出る。
- 褒め続けられると,自分も褒めなければ居心地が悪くなる。
- 参考文献
- レオン・フェスティンガー(末永俊郎監訳)『認知的不協和の理論』誠信書房(1965)
- フィッシャー=ユーリー(金山宣夫,浅井和子訳)『ハーバード流交渉術』三笠書房(1990)
- 宮部みゆき『火車』新潮文庫 (1998/1/30)583−587頁
- シーナ・アイエンガー(櫻井祐子訳)『選択の科学(The Art of Choosing)』岩波書店(2010)
- 戸田忠雄『教えるな!−できる子に育てる5つの極意』NHK出版新書(2011)
- 小室淑恵=駒崎弘樹『2人が「最高のチーム」になれるワーキングカップルの人生戦略』英治出版(2011)
- NHKスペシャル取材班『ヒューマン−なぜヒトは人間になれたのか−』角川書店(2012)
- 加賀山茂「民事法への招待」(2012)(加賀山茂「民事法への招待・練習問題集」)。なお,練習問題の解答は,加賀山茂「法教育の必要性とその実現方法 −アイラック(IRAC)を考慮したトゥールミン図式の特殊化とその応用」明治学院大学法科大学院ローレビュー第16号(2012年3月)3-36頁(PDF)参照。
- NHKスペシャル取材班『人体 ミクロの大冒険 60兆の細胞が紡ぐ人生』角川書店(2014/3/27)
- 平光雄『子供たちが身を乗り出して聞く道徳の話』致知出版(2014/10/28)
- 平光雄『子供たちが目を輝かせて聞く偉人の話』致知出版(2015/08/25)
- 試験勉強に励み,試験会場で熱心に答案を作成した学生の立場に立ってみれば,答案の評価は「厳格」であり,しかも,「公正かつ透明な」ものであらねばならない。
- 真摯に学生の答案に向かってみると,その中には,単なる単位取得の方便という目的を超えて,これまでにない全く新しい視点を発見するもの,さらには,一種の「論文作成」の域にまで到達した優れた答案も存在する。
- 筆者の経験に照らしても,学生の答案の採点を通じて,新しい論文作成の着想を得たことが少なくない。いずれにせよ,答案の採点は,「とにかく採点期日までに結果さえ出しておけばそれで済む」というようないい加減なものであってはならない。
- そこで,「法と経営学」研究科では,以下に示すような「公正かつ透明な」答案採点システムを採用する。このシステムは,Microsoft社のExcel上に簡単なマクロ(プログラム)をおくものである。
- このシステムは,自由記述式の答案の採点を効率化するができるばかりでなく,答案に対する評価基準の表を答案の解答要旨の選択肢として流用することを通じて,答案要旨の入力を省力化し,同時に,その後の自動的な採点を実現することができる。
- この答案採点システムを利用した場合,採点が終了すると同時に,採点結果が,答案の要旨,採点の評価基準,採点基準に基づいた客観的な採点プロセス,得点分布のグラフとともに出力される。このため,将来的に予想される個人情報の開示請求にも,完全に対応することが可能となる。
|
公正で厳格な成績評価の一例 |
- このような「公正かつ透明な」答案採点システムの実現により,これまで,厳正な成績評価を実現するために,解答の自由記述式をあきらめて,いわゆる客観テスト方式を採用せざるを得なかったり,複数の採点者を調達して,それぞれの採点結果をもとに採点を調整するという方式を採用せざるを得なかったりという不都合が改善されることになる。
- 参考文献
[Top]へ [自己紹介の目次]へ