[Top]へ [自己紹介の目次]へ [業績一覧]へ
Video教材一覧
作成:2012年11月3日
明治学院大学法学部教授 加賀山 茂
Ⅰ ビデオ教材作成の意義
大学教育の目的は,学生の知的レベルを向上させることにある。そのためには,大学教員による講義の内容を充実させることが必要である。しかし,それにもまして重要なことは,学生たちが自学自習ができる環境を整備すること,および,学習中に疑問を生じたときに,学生たちが即座にアドバイスを受けることができるコーチング・システムを大学が提供することにある。
|
加賀山茂『DVD講義
ビジュアル民法講義シリーズ1
民法入門・担保法革命』
信山社(2013/12) |
講義の予習を含めて,学生が,自学自習をするためには,よい教材が必要である。特に,視覚,聴覚の両方に訴えかけるビデオ教材の充実が何よりも大切である。なぜなら,講義を充実させるためには,学生が事前に予習していることが不可欠であるが,教科書等の読み物による教材を与えただけでは,読書離れの傾向にある現代の学生は予習をしないからである。しかも,分かりやすい講義は予習しなくても理解できるため,講義を分かりやすくすればするほど,予習をしない学生が増加するという皮肉な結果に陥ることになる。この点,ビデオ教材を事前に用意し,インターネットのWebサイトに置いておくと,ワンクリックで自習が始められるだけでなく,分からない箇所をいつでも,何度でも復習できるので,学生たちの予習と復習が同時に促進される。
ビデオ教材を作成する意義は,これにとどまらない。ビデオ教材があれば,学生が病気等で講義に欠席した場合にも,ビデオ教材で学習の遅れを取り戻すことができる。さらに,ビデオ教材の作成に学生を巻き込むことができるようになると,学生は,「教える教材の作成」を通じて,「教えることは学ぶことである」という最高レベルの学習を経験することができるようになる。
私は,法学部の講義科目である「債権総論1」(前期),「債権総論2」(後期),および,法と経営学研究科の講義科目である「ビジネス総論1」(前期)について,ビデオ教材を制作し,学生の予習,復習に供している。これら教材を使えば,第1に,状況に応じて,「反転授業」が可能となるし,第2に,授業評価についても,学生のアンケート結果だけに頼る必要がなくなる。なぜなら,ビデオ教材があれば,論文審査の場合と同様に,専門家がビデオ教材を見ることによって,客観的な視点から公正で厳格な授業評価をすることができるようになるからである。
Ⅱ 加賀山茂が制作したビデオ教材
1.ビデオ制作会社に依頼して作成する通常のビデオ作品
以下のビデオ教材は,ビデオ制作の専門業者に委託して制作したものである。教師と学生による授業風景を忠実に再現できるというメリットがある反面で,1本を制作するのに,最低でも10万円単位の費用がかかるのが難点である。例えば,以下の「民法入門」と「担保法革命」という2つの教材の制作に要した時間は6箇月強に及び,制作に要した費用は,約100万円である。
なお,上記の2つの作品は,Web上では,ビデオと速記録とを同時に見ることができる。また,加賀山茂『DVD講義 ビジュアル民法講義シリーズ1 民法入門・担保法革命』信山社(2013/12)』という書籍には,コラム記事等の付加価値をつけた教材に,ビデオ教材のDVDが添付されている。
1.民法入門
|
|
民法入門(法科大学院) |
担保法革命(法科大学院) |
2.担保法革命
3.法と経営学
|
法と経営学 模擬講義 |
- 模擬講義
- 法と経営学:組織のリスク・マネジメント(神田良教授との共著)
- オリエンテーション
- 2015年度
- 明治学院大学 大学院 法と経営学研究科創立記念講演会(2015/4/2)
- アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)創業者・大竹美喜「新しい経営戦略としてのブルー・オーシャン戦略」 (受講生専用)
- 2016年度
- ビジネス総論1
- 2015年度
- 串岡弘明「公益通報者保護法の現状について」(2015/6/4) (受講生専用)
2.STORM Makerというソフトウェアで自動作成するビデオ作品
以下のビデオ教材は,にノートを付加したパワーポイント作品をロゴスウエア社のSTORM Makerというソフトウエアを利用して,合成音声によるビデオ教材を作成したものである。教室の授業風景を取り込むものではないため,確かに,臨場感は薄れる。しかし,第1に,講義前に制作したビデオ教材について,講義後の学生の反応を聴取して,直ちに,しかも,何度でも改定ができること,第2に,1年間に何本制作しても,費用を10万円前後に抑えることができることできるのがメリットである。
- 法律一般
|
|
法と集合論
(56分) |
反転授業のための
ビデオ教材作成(10分) |
- Law & Set theory …法学の論理は,集合論におけるヴェン図を使うと,理解が容易になることを具体例で紹介している(表示は英文,音声は日本語)。
- Do for others & Law …明治学院大学の建学の精神である "Do for others" を民法学者の観点から考察する(作業中)。
- 法教育と反転授業 …学習者に予習を促すためには,ビデオ教材の作成が不可欠だが,その作成は容易ではない。そこで,PowerPointを作成するだけで,ビデオ教材が簡単に制作できる方法を紹介している。
-
|
【到達目標】 |
1.法解釈の必要性を条文で,解釈論をヴェン図で説明できる。 |
2.条文の理想の形を民法770条を例にとって説明できる。 |
3.民法770条,612条の改正案を理想の形で提案できる。 |
4.立法提案等の報告書をアイラック (IRAC)で書くことができる。 |
法的推論の基礎 …法的推論を判決三段論法からアイラック(IRAC)へ,そして,アイラック(IRAC)を支えるトゥールミン図式,ヴェン図を使った法的推論へと進化させる試み(2016/06/23)
- 法的推論は,従来は,判決三段論法などのように,正当化の推論に重点が置かれていた。
- しかし,次第に,立法論を含めて,具体的事例を合理的に解決するのに適したルールを発見する推論,すなわち,議論を通じたルールの発見方法や発見の推論(アブダクション)も重視されるようになりつつある。
- ここでは,法的推論の基礎として,従来の判決三段論法から,アイラック(IRAC)への筋道を示す。
- 具体的には,法とは何かという問題から始めて,従来の法的推論とされてきた判決三段論法を批判的に検討する。
- 次に,法律家の思考方法であるアイラック(IRAC)について具体例を踏まえて説明するとともに,アイラック(IRAC)を支えるトゥールミン図式,および,ヴェン図を使った解釈方法,さらには,それらを踏まえた上で,立法提案の作成方法について解説する。
- ビデオ教材(60分)
- PowerPoint(アニメーションとノート付きのプレゼンテーションファイル)
- PDF(このPDFをプリントアウトして,書き込みをしながらビデオ教材を見るとよい)
- 民法
|
|
民法の体系的理解
(74分) |
民法(債権関係)改正批判
(50分) |
- 民法の体系的理解 …明治学院の建学の精神(Do for others)から始めているため,民法の体系のほか,末尾で人格教育にも言及している。
- 民法(債権関係)改正案の第三者評価…3部構成(1.適正手続き違反,2.改正理由不適合,3.諮問不適合)で,2015年の民法(債権関係)改正案を批判している。
- 債権総論1(債権の目的,効力,多数当事者の債権・債務) …すべての単元における教材のビデオ化を実現している。
|
講義の最後のはなむけ
(10分) |
- 債権総論2(債権の移転と消滅,すなわち,決済システムの法的分析) … すべての単元における教材のビデオ化を実現した(2016年1月6日)。
これで,担当講義科目すべてについて,ビデオ教材の作成が完了した。
わが国の法学部の教員の中で,すべての担当講義科目について,ビデオ教材を作成し,かつ,それを一般に公開している教員は,私が初めてであろうと推測している。
もしも,担当講義科目のすべてについて,ビデオ教材を作成して公開している方がおられたたら,通知いただけると幸いである(Email: kagayama@law.meijigakuin.ac.jp)。
- 講義の最後に学生たちに伝えたい,いわゆる餞(はなむけ)のメッセージ
- 契約法総論
- 契約法各論
- 最終講義
- 法と経営学
|
空飛ぶタイヤ事件の分析
講義4回分(200分) |
- 法と経営学研究科入学案内
- 法と経営学とは何か,アドミッションポリシー,進路,カリキュラム等の案内
- ビジネス総論1
- 空飛ぶタイヤ事件 …製造物責任と交通事故との競合問題のほか,貸し剥がしの法と経営学についても考察している。
- トナミ運輸事件…公益通報者保護法の立法の契機となったトナミ運輸事件を取り上げ,法と経営学の観点から分析し,立法の課題について考察する。
- 医薬品のネット販売…対面販売とネット販売のメリットデメリットを法と経営学の観点から分析し,将来の展望を行う。
- 中小企業研究 事業承継の法と経営学
- 相続における遺留分減殺請求権の意義と放棄 (作業中)
- 法学方法論
-
|
論述式のの答案を自動的に採点する
システムの紹介(15分) |
公正・厳正な成績評価方法
- 論文式の問題に対する論述答案の採点を公正かつ厳格に行うため,Microsoft社のExcelのマクロ・プログラムを利用して,採点を自動化する試みの紹介である。論文(2005年)も,プレゼンテーション(2015年)も,3種類のプログラムと,それを利用する方法,結果を具体的に示している。
- 論文:加賀山 茂「厳格な成績評価を実現するための公正かつ透明な答案採点システムの構築-Microsoft Excelを利用した答案採点システム-」名大法政論集206号(2005)69-96頁
- プレゼンテーション:加賀山 茂「公正・厳格な成績評価の方法」
- ビデオ教材 (15分のビデオ教材)
- PowerPoint (アニメーションとノート付きのプレゼンテーションファイル)
- PDF (このPDFをプリントアウトして,書き込みをしながらビデオ教材を見るとよい)
- 法教育
- 高等学校における法教育実践
|
法解釈の種類と方法の楽しさと恐ろしさを
集合論を使って説明するもの(53分) |
- 高等学校における法教育は,裁判員制度が実施されている現状においては,不可欠の教育である。
- そればかりでなく,優秀な人材を受け入れるためには,大学の教員は,高等学校へ出かけて行き,そこで,法教育の模擬授業を展開すべきである。なぜなら,大学の教員が高等学校で興味深い法教育を行えば,高校生たちは,志望校を選ぶ際に,模擬授業での印象を考慮に入れるからである。
- したがって,高等学校での法教育は,単に,大学の社会貢献としての側面を有しているだけでなく,優秀な人材を獲得するための,大学の生き残りをかけた重要な戦略の一環として位置づけられるべきである。
- 神奈川県立麻溝台高等学校における法教育実践「法の解釈は面白くて恐ろしい」(2015/11/9)
- ビデオ教材 (53分のビデオ教材)
- PowerPoint (アニメーションとノート付きのプレゼンテーションんファイル)
- PDF (このPDFをプリントアウトして,書き込みをしながらビデオ教材を見るとよい)
[Top]へ [自己紹介の目次]へ [業績一覧]へ